ABSTRACT 1761(P7-3)
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口腔扁平上皮癌における腫瘍血管新生、p53蛋白発現と浸潤様式について:二宮康郎、中野伸一、若江秀敏、松本堅太郎(福岡歯大・口外 I)

Tumor angiogenesis, the p53 antigen, and pattern of invasion in oral squamous cell carcinomas.:Yasuro NINOMIYA, Shin-ichi NAKANO, Hidetoshi WAKAE, Kentaro MATSUMOTO ( Dept. of Oral Surg. I ., Fukuoka Dent. College. )

[目的]これまで我々は、口腔扁平上皮癌におけるp53蛋白の発現と腫瘍血管新生との関連性について研究を行い、両者は臨床所見や予後において関連性を示すことを報告してきた。今回、同癌腫の浸潤様式における両者の発現頻度について免疫組織学的に検索を行い、臨床的悪性度との関連からこれらの検索が癌細胞の浸潤能や予後の予測に有用であるか否かについて検討を行った。
[対象および方法]対象症例は、1982年から1996年までの間に当科にて治療を行った口腔扁平上皮癌一次症例・33例である。p53蛋白については、抗DO7 (NOVO, 80:1)抗体を用いたLSAB法による免疫組織化学染色標本を作製後、画像解析装置を用いて陽性細胞核面積比率(p53 positive area)を測定した。腫瘍血管新生の頻度については、CD31 (DAKO, 50:1)免疫組織化学染色標本を400倍率、20視野にて検鏡し、平均血管数(MVD)を算出した。
[結果]Annerothの浸潤様式において、p53 positive areaとMVDは浸潤傾向が強くなるに従い高値を示す傾向が得られ、さらに、両者の頻度は相関性を示すことが確認された。また、この浸潤傾向は臨床的悪性度をよく反映した。
[結語]以上の結果から、口腔扁平上皮癌におけるp53蛋白と腫瘍血管新生の発現は浸潤能や予後の予測に有用である可能性が示唆された。