ABSTRACT 1765(P7-3)
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転移能の異なるルイス肺癌細胞株にみられるVEGF 産生および血管新生能の違い:越川信子1, 田川雅敏1,崎山 樹2,竹永啓三3,(千葉がんセ・2研・1病理,3,化療)

Differences in VEGF expression and neoangiogenesis in Lewis lung carcinoma sublines showing different metastatic potential : Nobuko KOSHIKAWA1, Masatoshi TAGAWA1, Shigeru SAKIYAMA2, Keizo TAKENAGA3, (Div. of 1Pathol. and 3,Chemother., 2Chiba Cancer Ctr. Res. Inst.)

【目的】ルイス肺癌由来の高転移性細胞株 A11は、低転移性細胞株 P29 に比べ in vitro での増殖は遅い。しかし、皮下移植後の初期増殖は速いという特徴を示す。この in vivo における増殖性の違いが血管新生の違いによるのではないかと推測し、両細胞株のVEGF 産生および血管新生能を比較検討した。【方法】低酸素状態は、ガスパックにより作成した。 VEGF 発現量はノーザンブロット法により調べた。血管新生は背部皮下法により、血管密度はCD31抗体を用いた免疫染色により検討した。c-Src の発現はウェスタンブロット法により調べた。【結果】細胞を低酸素状態で培養した後 VEGF の発現量を検討したところ、 P29 細胞に比べてA11 細胞で発現が著しく高まることが判った。また、A11 細胞は P29 細胞より早期に血管新生を惹起し、さらに、A11 細胞により形成された皮下腫瘍において血管密度がより高いことが判明した。一方、低酸素状態におけるVEGF の発現にはc-Src が重要な働きをしていることが報告されている。そこで、A11とP29 細胞におけるc-Src の発現量を比較したところ、A11 細胞でその発現量が多いことが判った。【考察】In vivo におけるA11とP29細胞の増殖の違いは、VEGF 産生量の違いに基く血管新生の差によると考えられた。また、A11とP29 細胞におけるVEGF 産生の違いはc-Src の発現の差に基くものと推察された。