ABSTRACT 1766(P7-3)
乳癌組織における血管新生因子の検討:横松秀明,仲田文造,小川佳成,川崎史寛,平川弘聖(大阪市大・医・1外)
Angiogenesis factors in breast cancer tissue : Hideaki YOKOMATSU, Bunzo NAKATA,Yoshinari OGAWA,Fumihiro KAWASAKI,Kosei HIRAKAWA (1st. Dept.of Surg., Osaka City Univ. Med. School)
【目的】乳癌患者組織における種々の血管新生因子を測定し、その臨床的意義を検討した。
【材料・方法】乳癌患者155例のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックより薄切切片を作成し免疫組織学的染色により検討した。factor VIII関連抗原に対する抗体を用いて染色し、200倍視野の検鏡で新生血管数(MVC)を測定した。VEGFおよびdThdPaseの測定はMatternらの方法に準じて、染色癌細胞の%と染色強度によりscore化して評価した。
【結果】10年以内に再発のない症例のMCV値は45.1±15.2、局所再発が出現した12例は44.3±13.4、遠隔転移再発が出現した36例は65.1±17.5であり、遠隔転移症例で有意に高値であった。MVCの平均値52.8で高値群と低値群に分けると、低値群85例は高値群70例に比べ有意に予後良好で無再発生存率も高率であった。VEGFscoreとMVCは相関係数0.259(P<0.0001)、dThdPase scoreとMVCは相関係数0.303(P<0.0001)であり相関を認めた。しかしVEGFおよびdThdPase染色の陽性、陰性では予後の差を認めなかった。
【結論】MCVは予後および遠隔転移再発の予測因子として有用であり、VEGFおよびdThdPaseの発現と有意に相関していた。