ABSTRACT 1767(P7-3)
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ヒト乳癌の骨転移形成におけるKAI-1, c-Met ,BMP,VEGFの発現の検討

杉 桂二, 有広光司, 藤井誠志, 金子真弓, 井内康輝( 広島大・医・第二病理 )

Expression of KAI-1, c-Met, BMP and VEGF in human breast carcinoma with bone metastasis : Keiji SUGI, Kouji ARIHIRO, Satoshi FUJII, Mayumi KANEKO, Kouki INAI ( Second Dept. of Pathol., Hiroshima Univ. Sch. Med. )

【目的】乳癌の骨転移形成には癌細胞の特異的な骨基質への接着や同部での増殖能の獲得がおこる必要があるが、その機序には未だ不明な点が多い。一方、KAI-1蛋白は前立腺などで転移抑制因子として報告される遺伝子産物であり、 またMet 蛋白,BMP蛋白は骨転移誘導因子として、VEGF蛋白は血管新生促進因子として働く可能性があることから、これらの乳癌の骨転移例での発現を検討した。
【対象及び方法】手術後1年から5年の間に骨転移を示した25例と、5年以上無再発であった26例の乳癌を対象とした。ホルマリン固定パラフィン包埋材料の薄切切片に抗KAI-1,抗c-Met抗体,抗BMP抗体,抗VEGF抗体を用い、ABC法にて免疫組織化学的染色を行った。また、凍結材料を用いてWestern blot法により各蛋白の発現の検討を加えた。
【結果及び考察】 KAI-1の発現は乳癌組織51例中42例(82%) に認め、免疫組織化学的染色とWestern blotの結果はよく一致した。骨転移の有無、KAI-1の消失との間には一定の傾向を認めなかったが病期の進んだ例及びリンパ節転移の個数が多い例でKAI-1の消失例が多い傾向があった。c-Met蛋白,BMP蛋白,VEGF蛋白の発現はそれぞれ65%,18%,49%の例で発現したが、特にVEGF蛋白は骨転移例で発現が強い傾向があった。