ABSTRACT 1778(P7-3)
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ヒト悪性神経膠腫細胞株におけるp16遺伝子異常とvascular endothelial growth factor発現ならびに血管新生能との関連性についての検討:原田広信1、浜田雄行2、中川 晃1、斎藤正裕1(愛媛大・1脳外、2産婦)

p16/CDKN2 gene regulates the synthesis of vascular endothelial growth factor and angiogenesis in human glioma cells: Hironobu HARADA1, Katsuyuki HAMADA2, Kou NAKAGAWA1, Masahiro SAITO1 (1Dept. of Neurosurg., 2Dept. OB/GYN., Ehime Univ. Sch. Med)

[目的] 神経膠腫では悪性度が増すにつれ著しい血管新生を伴う。またp16遺伝子異常は悪性神経膠腫において高頻度に認められている。そこで、p16遺伝子異常と腫瘍血管新生との関連性の有無をvascular endothelial growth factor (VEGF)の発現に着目し検討した。[方法] ヒト悪性神経膠腫細胞株U87-MG (p16 deletant)、U251-MG (p16 deletant)及びSW 1783 (p16 wild)に対し、p16発現アデノウイルスベクタ− (Ad5CMV-p16)を用いてp16遺伝子を導入した。導入後24時間目にG-5添加物(VEGF-)を加えた無血清培地に交換し、12時間後の培養上清中のVEGF蛋白濃度をELISAにて測定した。またp16遺伝子導入細胞を充満したミリポアチェンバーをマウス背部皮下に移植し、48時間後に新生血管網の面積をimage processorにて計測した。[結果] p16遺伝子導入によりU87-MG、U251-MGではVEGF産生が有意に抑制された。SW 1783のVEGF産生能はp16遺伝子導入による影響はみられなかった。また、背部皮下法ではp16遺伝子導入によりU87-MG、U251-MGによる新生血管の誘導が著しく抑制された。[結論] 悪性神経膠腫において、p16遺伝子異常によりVEGF産生が亢進し、腫瘍血管新生が引き起こされている可能性が示唆された。