ABSTRACT 1780(P7-3)
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ヒト膵臓癌により誘導される腹水貯留に対する抗VEGF/VPF中和モノクローナル抗体の効果: 浅野誠、幸田綾子、鈴木日出夫(東亞合成・つくば研)

Effect of anti-VEGF/VPF neutralizing monoclonal antibody on the accumulation of ascites fluid induced by human pancreatic cancer : Makoto ASANO, Ayako YUKITA, Hideo SUZUKI(Tsukuba Res. Lab., TOAGOSEI Co.Ltd.)

【目的】癌患者における腹水貯留は、QOL悪化の大きな要因となっている。近年、腹水貯留を誘導する因子としてVEGF/VPFが注目されてる。そこで、ヒト膵臓癌細胞を移植したヌードマウスにおける腹水貯留モデルを作製し、抗VEGF/VPF中和モノクローナル抗体(Ab)の効果を検討した。
【方法】培養ヒト膵臓癌細胞株は、ヌードマウスの腹腔内に移植した。Abは、移植翌日より4日毎に100μgを静脈内投与した。移植25日後に、腹水量を秤量するとともに、腹腔内に形成された腫瘤の重量を測定した。腹水中のVEGF/VPFは、ELISA法により定量するとともに、マイルスアッセイにて血管透過性亢進活性を測定した。
【結果】ヒト膵臓癌株により誘導された腹水中には、高濃度のVEGF/VPFが検出され、血管透過性亢進活性も有していた。この活性は、腹水を予めAbで処理することで消失した。 Abは、ヒト膵臓癌株により誘導される腹水貯留を有意に抑制した。また、腹腔内に形成された腫瘤の重量もAb投与群で有意に小さかった。
【結論】癌による腹水貯留は、癌細胞が分泌するVEGF/VPFの血管透過性亢進活性によるものであることが示唆された。抗VEGF/VPF中和抗体の投与は、癌性腹水の貯留を抑制することが明らかとなった。