ABSTRACT 1781(P7-3)
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ヒト胃癌に対するVEGF中和抗体の抗腫瘍効果とアポトーシス誘導:神谷欣志1, 今野弘之1, 田中達郎1, 馬場 恵1, 諏訪大八郎1, 西野暢彦1, 坂口孝宣1, 浅野 誠2, 幸田綾子2, 鈴木日出夫2, 新井冨生3, 中村 達11浜松医大・2外,2東亞合成研,3都老人医療セ・病理)

Antitumor effect and induction of apoptosis by VEGF neutralizing antibody on the human gastric cancer: Kinji KAMIYA1, Hiroyuki KONNO1, Tatsuo TANAKA1, Megumi BABA1, Daihachiro SUWA1, Nobuhiko NISHINO1, Takanori SAKAGUCHI1, Makoto ASANO2, Ayako YUKITA2, Hideo SUZUKI2, Tomio ARAI3, Satoshi NAKAMURA1 (12nd. Dept. Surg., Hamamatsu Univ. Sch. Med., 2Tsukuba Res. Lab., Toagosei Co., Ltd., 3Dept. Patho., Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital)

【目的】血管新生を制御し"Tumor dormancy"を誘導する新しい癌治療戦略が注目されている.われわれはヒト胃癌に対するVascular Endothelial Growth Factor 中和抗体 (VEGFAb) の抗腫瘍効果と血管新生の抑制,アポトーシス誘導能との関連を検討した.
【方法と結果】ヒト胃癌株MT2ヌードマウス同所移植モデルを作成し,治療群(n=15)では移植11日目よりVEGFAb 100μg/bodyを隔日12回腹腔内投与し,移植39日目に対照群(n=15)と比較評価した.移植腫瘍重量 (g) (0.81±0.11 vs 0.53±0.05, p=0.03:対照群vs治療群, p値;以下同),肝転移個体数 (10/15 vs 2/14, p=0.004) は,いずれも治療群において抑制された.移植腫瘍中微小血管数 (MVC) をER-MP12抗体による免疫組織化学染色法にて,apoptotic index をHE染色にて検討した.治療群においてMVC (counts/×200 field) は低値で (33.60±2.06 vs 21.11±1.40, p<0.0001),apoptotic index (%) は高値(4.73±0.29 vs 7.26±0.42, p<0.0001) であった.移植腫瘍のVEGFmRNA 発現をNorthern blot 法により検討したが,VEGFmRNA 発現は2群間で差を認めなかった.
【まとめ】(1) VEGFAb はヒト胃癌に対して有意な腫瘍増殖,転移抑制効果を示した.(2) VEGFAb は腫瘍組織の血管新生を抑制し,アポトーシスを誘導した.(3) VEGFAb 投与により腫瘍細胞における VEGFmRNA 発現は,増加調節を受けないことが示唆された.(4) VEGFAb によるアポトーシスの誘導は,癌巣を dormancy にさせることにより胃癌患者の予後を改善させうることが示された.