ポスターセッション

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大腸癌におけるPlatelet-derived endothelial growth factor (PD-ECGF) 発現の臨床病理学的意義

斎藤晋祐１、名川弘一^１、須並英二^１、津野ネルソン²、長田卓也²、北山丈二^１、波多野賢二²、正木忠彦^１、菅原　勇³、柴田洋一²、武藤徹一郎^１（^１東大・外、²東大・輸血、³結核予防・病理）　　　

Expression of Platelet-derived Endothelial Cell Growth Factor in Colorectal Cancer and its Clinical Significance: Shinsuke SAITO^１, Hirokazu NAGAWA^１, Eiji SUNAMI^１, Nelson TSUNO², Takuya OSADA², Joji KITAYAMA^１, Kenji HATANO², Tadahiko MASAKI^１, Isamu SUGAWARA³, Yoichi SHIBATA², Tetsuichiro MUTO^１ ( ^１Dept. Surg. Oncol., ²Dept. Transf. Med., the University of Tokyo, ³Dept. Pathol., Res. Inst. of Tuberculosis)

【目的】固形腫瘍の発育進展および血行性転移の成立に血管新生は必須であり、種々の血管新生促進因子と腫瘍の悪性度および予後との相関が報告されている。今回我々は血小板に由来する血管新生促進因子として同定されたPD-ECGF (Platelet-derived endothelial growth factor)の大腸癌における発現を免疫組織学的に調べ、臨床病理学的因子および転移との関連について検討した。
【対象と方法】遠隔成績の明らかな大腸癌症例87例（mp 33例、ss 54例）のパラフィン包埋切片に対して、抗PD-ECGF抗体（日本ロシュより供与）を用いて免疫組織染色（ABC法）を施行した。腫瘍内のPD-ECGF発現と脈管浸潤、リンパ管浸潤、血行性転移などの臨床病理学的因子との関連について検討した。
【結果】1) PD-ECGFの発現は主に大腸癌の間質に認められ、陽性率は75.9% (66/87) であった。 2) PD-ECGFの発現と深達度、リンパ管侵襲の有無、静脈侵襲の有無、組織型との間には相関は認めなかったが、リンパ節転移の有無と逆相関を認めた (p<0.05)。また血行性転移とも逆相関を認めた (p<0.05)。
【考察】大腸癌において、PD-ECGFの発現が強い腫瘍では免疫担当細胞の浸潤が強くみられ、その結果リンパ節及び血行性転移が抑制されると考えられた。