ABSTRACT 1789(P7-3)
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卵巣癌におけるplatelet-derived endothelial cell growth factor(PD-ECGF)の発現とその臨床的意義:廣瀬玲子,藤本次良,坂口英樹,玉舎輝彦(岐阜大・医・産婦)

Expression of platelet-derived endothelial cell growth factor (PD-ECGF) and its mRNA in ovarian cancers : Reiko HIROSE , Jiro FUJIMOTO, Hideki SAKAGUCHI , Teruhiko TAMAYA (Dept.of Obstet. and Gynecol., Gifu Univ. Sch. of Med.)

[目的]癌の増殖と進展は癌組織における血管新生能と深く関連している。Platelet-derived endothelial cell growth factor (PD-ECGF)は、 VEGFおよびbasic FGFなどと異なり特に癌細胞周辺の間質に発現する血管新生因子である。そこで、卵巣癌におけるPD-ECGF の発現およびその遺伝子発現と、その臨床背景との関連を検討した。
[方法]卵巣癌および正常卵巣組織におけるPD-ECGFの発現量を EIA法で測定し、そのmRNAの発現量をRT-PCR-Southern blot法で測定した。さらに個々の臨床的背景(臨床進行期、病理組織型、予後)との関連を検討した。
[成績]正常卵巣に比して、卵巣癌におけるPD-ECGFおよびそのmRNAの発現は、有意に高かった。Serous cystadenocarcinoma、Endometrioid carcinoma および stageIII期とIV期において、PD-ECGF およびそのmRNAの発現が著しく高い症例が10%程度あった。
[結論]卵巣癌においてPD-ECGFは、ほぼ全例で高く発現しているため、その増殖や進展に血管新生を介して働いていると考えられ、さらに一部の症例で極端に高く発現していることから、特にこれらの症例では血管新生に対する抑制という点に重点をおいて治療を展開する必然性が考えられた。