ABSTRACT 1791(P7-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト神経膠腫におけるthymidine phosphorylaseの発現−血管新生、p53、apoptosisとの関係−:高野晋吾、坪井康次、松村 明、能勢忠男(筑波大・臨床・脳外)

Expression of thymidine phosphorylase as an angiogenic factor in astrocytic tumors: Shingo TAKANO, Koji TSUBOI, Akira MATSUMURA, Tadao NOSE (Dept. of Neurosurg., Inst. of Clin. Med., Tsukuba Univ.)

[目的]神経膠腫の増殖には血管新生が必要である。近年血管新生因子として注目されているthymidine phosphorylase (TP)の発現を神経膠腫で検討する。[対象および方法]63例の神経膠腫組織(low garde astrocytoma 17, anaplastic astrocytoma 19, glioblastoma 27)のパラフィン切片で抗TP抗体(654-1:日本ロシュ)、第8因子関連抗原抗体 (Dako)、抗VEGF抗体 (Santa Cruz)、抗MIB-1抗体 (Immunotech)、抗p53抗体(Dako)を用い免疫染色を行った。TP、VEGF発現は陽性細胞が50%以上で陽性とし、200倍視野の血管数、MIB-1、P53は1000個以上の細胞中の陽性細胞の割合を測定した。また、Apotaqキット(Oncor)を用いてapoptosis indexを求めた。[結果]TPは神経膠腫の腫瘍細胞細胞質にみられ、血管内皮細胞にも稀にみられた。TP陽性の神経膠腫では陰性の神経膠腫に比べて、統計学的に有意に血管数が多く、MIB-1による腫瘍増殖能、p53の陽性率、VEGFの陽性率、apoptotic indexが高かった。[結論]TPはVEGFと共に神経膠腫の血管新生の指標として重要であり、p53、apoptosisと密接に関係している。