ABSTRACT 1854(P7-8)
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口腔扁平上皮癌のマトリックスプロテアーゼ (MMP-2)活性化における線維芽細胞の関与 : 占部一彦、林堂安貴、吉岡秀郎、杉浦 剛、 中島昌宗、松矢篤三 ( 阪大・歯・口外一 )

 Participation of oral fibroblasts in the activation of matrix metalloproteinase-2 (MMP-2) by oral squamous cell carcinoma cells : Kazuhiko URABE, Yasutaka HAYASHIDO, Hideo YOSHIOKA, Tsuyoshi SUGIURA, Masahiro NAKASHIMA ( 1st. Dept. Oral & Maxillofac. Surg., Osaka Univ .Fac. Dent. )

 我々はこれまでに間質の主な成分である線維芽細胞が扁平上皮癌細胞のin vitroでの浸潤能を促進させることを明らかにしてきた。今回口腔扁平上皮癌細胞のMMP-2活性、特にMMP-2活性化に与える線維芽細胞の影響について解析したので報告する。線維芽細胞培養上清を扁平上皮癌細胞で処理したところ24時間後より線維芽細胞上清中の潜在型MMP-2の活性化が認められた。あらかじめ線維芽細胞培養上清で処理した扁平上皮癌細胞膜画分はMMP-2の活性化能と結合能を有することがわかった。MMP-2の活性化因子として知られているMT1-MMPの遺伝子発現をRT-PCR法にて検索し、線維芽細胞培養上清処理によって扁平上皮癌細胞のMT1-MMP遺伝子の発現が誘導されていることが明らかとなった。細胞膜上の活性型MMP-2の受容体としてαVβ3 integrinが考えられている。そこで抗αV integrin subunit抗体にて免疫沈降することによりαV integrin subunitが除去された扁平上皮癌細胞膜画分ではそのMMP-2の活性化能に変化は認めないが、活性型MMP-2の接着能が低下していることがわかった。以上より線維芽細胞は不活性型MMP-2の供給源となるだけでなく、扁平上皮癌細胞膜上にMT1-MMPの発現を誘導し、細胞膜上で活性化されたMMP-2はαV integrinを介して細胞膜上に結合し、癌細胞周囲の基質分解を行っていると考えられた。