ABSTRACT 1856(P7-8)
MMP-2, Integrinαvβ3発現量と肺癌転移能との関連についての検討:久松貴、近藤正道、日高重和、寺田隆介、中村司朗、辻孝、澤井照光、安武亨、原信介、綾部公懿1、田川泰2(1長崎大・一外、2長崎大・医短)
The relationship between expression of MMP-2, Integrinαvβ3 and lung cancer metastasis:Takashi HISAMATSU, Masamichi KONDOU, Shigekazu HIDAKA, Ryusuke TERADA, Shirou NAKAMURA, Takashi TUJI, Terumitsu SAWAI, Touru YASUTAKE, Shinsuke HARA, Hiroyoshi AYABE1, Yutaka TAGAWA2(1The 1st Dept. of Surg. Nagasaki Univ. School of Med., 2The School of Allied Medical Science Nagasaki Univ.)
[目的]我々はこれまで肺癌切除症例より得られた肺癌細胞膜表面におけるMMP-2,Integrinαvβ3発現量をflow cytometryを用いて定量化し、両蛋白がリンパ節転移陽性群において高値となること、培養細胞における両蛋白の発現量変化が相互に影響し合うこと、及び両蛋白高発現細胞群がin vitroにおいて高浸潤能を示すことを御報告してきた。細胞膜表面における両蛋白が細胞の浸潤、転移能に及ぼす影響について更に検討を加える。
[方法]TGF-βによってMMP-2及びIntegrinαvβ3発現を誘導した培養細胞を用い、両蛋白の発現量の差が浸潤能に及ぼす影響をin vitroにおいて検討した。又、それぞれの蛋白をblockした際の浸潤能の変化をin vitroにおいて評価した。
[結果]MMP-2、Integrinαvβ3高発現細胞群は高浸潤能を示したが、どちらか一方の蛋白をblockすると、その浸潤能はほぼcontrol群と同等のレベルに復した。
[考察]少なくとも肺癌細胞においては、両蛋白の相互作用により高浸潤能を獲得しており、これらをblockする事により浸潤を抑制し得る可能性が示唆された。現在、BALB/cを用いた肺癌細胞の転移実験モデルを作成しており、in vivoにおいて両蛋白が細胞の転移能に及ぼす影響についても検討し、併せて御報告したいと考えている。