ABSTRACT 1857(P7-8)
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マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤CGS27023Aの癌細胞浸潤能抑制と血管新生抑制作用:西山広子, 岡田美貴子, 渡辺 徹, 笠岡達彦, 中島元夫 (ノバルティスファーマ・宝塚研究所・創薬研究部)

Anti-angiogenic activity of CGS27023A, a matrix metalloproteinase inhibitor: Hiroko NISHIYAMA, Mikiko OKADA, Toru WATANABE, Tatsuhiko KASAOKA, Motowo NAKAJIMA (Discovery Research, Takarazuka Res. Inst., Novartis Pharma, K.K.)

細胞外マトリックスの分解は、癌細胞の転移浸潤および血管新生時の血管内皮細胞の浸潤に重要な役割を演じている。今回、ヒドロキサム酸骨格を有するマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤CGS27023Aの、癌細胞と血管内皮細胞による基底膜分解、浸潤能および管腔形成の阻害作用について検討を加えた。CGS27023Aは種々のマリックスメタロプロテアーゼ(MMP-1, MMP-2, MT1-MMPなど)活性を阻害する。MMP-1, MMP-2, MT1-MMP に対するIC50は、6-23 nMを示した。細胞レベルにおいても、細胞外マトリックス成分の分解を濃度依存的に阻害した。また、細胞毒性を示さない濃度において、癌細胞および血管内皮細胞のマトリゲルへの浸潤を阻害した。さらに、血管内皮細胞をI型コラーゲンゲル上で3次元培養することにより管腔形成を誘導するアッセイにおいて、CGS27023Aは血管内皮細胞の管腔形成を阻害した。癌細胞によるI型コラーゲン分解と血管内皮細胞のI型コラーゲンゲル上における管腔形成の阻害に対するIC50は同様な値を示し、血管内皮細胞のI型コラーゲン分解を阻害することにより管腔形成を阻害する可能性が示唆された。以上の結果より、血管内皮細胞の管腔形成にマトリックスメタロプロテアーゼが重要な役割を演じていることが示されるとともに、CGS27023Aは癌細胞浸潤能の抑制と宿主側血管新生の抑制を通じて抗転移作用を示すことが示唆された。