ABSTRACT 1858(P7-8)
uPARに結合する最小単位のuPA由来環状ペプチドは浸潤・転移を抑制する:近久ルミ,吉田昌彦,米倉和比古,大久保秀一,宮寺和孝,松尾憲一,東岡俊之,山田雄次(大鵬薬品・創薬セ)
The minimum peptide of uPA binding to uPAR can block tumor invasion and in vivo metastasis: Lumi CHIKAHISA, Masahiko YOSHIDA, Kazuhiko YONEKURA, Shuichi OHKUBO, Kazutaka MIYADERA, Ken-ichi MATSUO, Toshiyuki TOKO, Yuji YAMADA(Hanno Res. Center, Taiho Pharmaceutical CO.,LTD.)
【目的】ウロキナーゼ型plasminogen activator(uPA)の細胞膜受容体(uPAR)への結合は、癌細胞の浸潤・転移において重要な役割を果たしている。我々は、uPARへの結合に必須な最小のuPA配列を決定し、そのペプチドの浸潤および転移抑制活性について検討した。【方法】(1)uPAのuPAR結合領域(ATF)を短縮化し、それらペプチドの125I-ATFのuPAR結合に対する阻害活性を評価した。(2)ペプチドの浸潤阻害活性を in vitro invasion assayにより、(3)in vivoにおける転移抑制活性を胃癌同所再建自然転移モデルにより検討した。【結果】(1)13mer uPA19-31(W-4)、特にその環状型ペプチド cyclic uPA19-31 (cW-4; Kd=5.93 x 10-9M)に最も強い結合阻害活性が認められた。また、Ala置換の結果、Val20、Ser21およびAsn22は結合阻害に必須ではなく、それ以外のアミノ酸は必須であることが明らかとなった。(2)cW-4は浸潤阻害活性(55%)を有し、直鎖構造にしたAla19、Ala31置換ペプチドはその活性を消失した。さらに、(3)cW-4は、in vivoにおいて転移抑制活性を有していた。【考察】以上の結果よりcW-4はuPAR結合を介して癌細胞の浸潤および転移を抑制できる最小単位のペプチドであることが示された。