ABSTRACT 1865(P7-8)
直腸癌における神経栄養因子(nerve growth factor)の発現と神経侵襲との関連:安居利晃、太田哲生、西村元一、田島秀浩、北川裕久、伏田幸夫、藤村 隆、萱原正都、清水康一、三輪晃一(金沢大・二外)
The expression of nerve growth factor (NGF) is correlated with perineural invasion in rectal carcinoma : Toshiaki YASUI, Tetsuo OHTA, Gen-ichi NISHIMURA, Hidehiro TAJIMA, Hirohisa KITAGAWA, Sachio FUSHIDA, Takashi FUJIMURA, Masato KAYAHARA, Koichi SHIMIZU, Koichi MIWA (2nd. Dept. of Surgery, Kanazawa Univ.)
【目的】代表的神経栄養因子であるnerve growth factor(NGF)に注目し、ヒト直腸癌培養細胞株におけるNGF mRNAの発現、さらに直腸癌組織におけるNGF蛋白の発現と神経侵襲との関連性について検討した。
【対象と方法】 (1)ヒト直腸癌培養細胞株SW 837, CaR-1, RCM-1におけるNGF mRNAの発現をRT-PCR法により調べた。(2)深達度ss(a1)以上の進行直腸癌95例のパラフィン包埋切片を抗NGFモノクローナル抗体による免疫組織化学的染色を行い、腫瘍細胞の5%以上が染色される症例をNGF蛋白発現陽性例、5%未満を陰性例とした。また、神経侵襲はHE染色、S100蛋白染色に加え、抗EMA染色を行い、perineural spaceに腫瘍細胞が存在するものを陽性として、NGF蛋白の発現と神経侵襲との関連について検討した。
【結果】(1)培養細胞ではCaR-1とRCM-1においてNGF mRNAの発現を認めた。(2)NGF蛋白の発現は71例(75%) に、神経侵襲は29例(31%)に認めた。神経侵襲はNGF陽性例の38%(27/71)に認め、NGF陰性例の8%(2/24)と比較し有意に高率であった(p<0.01)。
【結語】直腸癌におけるNGF蛋白の発現が確認され、その腫瘍内発現と神経侵襲との関連性が示唆された。