ポスターセッション

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血管新生阻害による膵癌腹膜播種抑制の試み：加藤弘明^1,2、石倉浩¹、川原田陽^1,2、岸本充¹、矢野智之^1,2、田原正彦^1,2、加藤紘之²、吉木敬¹ (^１北大・医・第1病理、^２北大・医・第2外科 )

Suppression of peritoneal dissemination of the pancreas carcinoma by the inhibition of　angiogenesis:Hiroaki KATO^1,2, Hiroshi ISHIKURA^1, You KAWARADA^1,2, Takashi　KISHIMOTO¹,Tomoyuki YANO^1,2, Masahiko TAHARA^1,2, Hiroyuki KATO²,Takashi YOSHIKI¹(¹ 1st Dpt. of Pathol.,² 2nd Dpt. of Surg., Sch. of Med. Hokkaido Univ.)

（目的）腫瘍血管の新生は癌の発育増殖に不可欠な要素であり、これを阻害することにより治療効果が期待できる。我々はこれまでにヒト膵癌細胞株(PCI)を用いてその血管新生能と血管新生阻害による肝転移抑制効果を検討し、報告してきた。今回、我々はさらに腹膜播種抑制効果について検討を行ったので報告する。（材料と方法）ヒト膵癌株PCI-43をin vivo selectionすることにより高腹膜播種性クローンPCI-43p3を樹立し、その性質を検討した。nudeマウスにPCI-43p3を腹腔内注入して腹膜播種モデルを作成し、接種当日及び接種後２週後よりTNP-470、30mg/kgを隔日投与し、４週後に犠牲死させて組織学的に腹膜播種結節を検索した。（結果と考察）PCI-43p3は親株に比し高い腹膜播種能を有し、培養腹膜中皮への有為な接着能の亢進がみられた。腹膜播種モデルにおいてTNP-470を投与した群では、当日及び２週後投与群とも腹膜播種結節数の有為な減少(21.0±6.9,9.4±2.1,p＜0.05,1.8±1.3,p＜0.001)と、播種結節の発育増大抑制(5.43±1.0,3.2±1.3,p＜0.01,1.0±0.7,p＜0.0001)が認められた。また、副作用として、TNP-470投与群では体重増加の抑制が認められた。(結語）ヒト膵癌は前回の報告で示した通り血管新生因子を産生しており、血管新生を阻害することにより肝転移抑制効果のみならず腹膜播種抑制効果も示された。血管新生阻害療法の今後の膵癌腹膜播種治療への有効性が示唆された。