ABSTRACT 1878(P7-8)
 ポスターセッション一覧 トップ 


新規代謝拮抗剤TAS-102の転移抑制効果:
宮寺和孝、江村智博、鈴木則彦、福島正和、浅尾哲次、秋山伸一、山田雄次(大鵬薬品・第一がん研、第二がん研、化学研、鹿児島大・腫瘍研

Anti-metastatic effect of novel anti-metabolite, TAS-102: Kazutaka MIYADERA, Tomohiro EMURA, Norihiko SUZUKI, Masakazu FUKUSHIMA, Tetsuji ASAO, Shin-ichi AKIYAMA, Yuji YAMADA (Hanno Res. Center,Taiho Pharmaceutical Co. LTD, Cancer Res. Inst, Facult.Med., Kagoshima Univ.)

 TAS-102はトリフルオロチミジン(F3dThd)とその分解酵素であるチミジンホスホリラーゼ(TP)の活性阻害剤(TPI)をモル比1:0.5で配合した新規な代謝拮抗剤である。これまでに我々はTPが血管新生や転移に深く関与しており、その血管新生にはTP酵素活性が必須であることを報告してきた。F3dThdにTPIを併用することで抗腫瘍効果が増強することに加え、TPが関与する血管新生や転移を抑制することが期待された。
そこでTAS-102及びTPIの転移抑制効果を検討する目的でTMK-1(胃癌株)及びCo-3(大腸癌株)を用いた実験肝転移モデルに対する効力を検討した。TMK-1細胞を脾臓に移植し切除した後、翌日より42日間投与した所、薬剤非投与群と比較してTPI単独100mg/kg投与群において76.7%、TAS-102 75mg/kg投与群において98.4%の延命効果が観察された。 またCo-3を用いた同所再建モデルにおいてもTAS-102 100mg/kg投与群は薬剤非投与群9例/12例に対して1例/11例と肝転移を有為に抑制し、またTPI単独投与群においても転移の抑制傾向が観察された。
 以上の結果からTAS-102は原発巣の縮小に加え、抗転移効果も有する経口型の全く新しいタイプの代謝拮抗剤になることが期待される。