ABSTRACT 1881(P7-8)
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悪性腫瘍細胞に対するマクロライド系抗生物質の接着抑制効果:坂田憲史、坂本芳雄(埼玉医大・第2内科)

Inhibitory Effect of Macrolide Antibiotics on Adhesion of Marignant Tumor Cells:Kenji SAKATA, Yoshio SAKAMOTO ( 2nd Dept. Int. Med., Saitama Medical School )

【目的】我々は第55回本学会総会においてマクロライド系抗生物質が in vitro において悪性腫瘍細胞の浸潤能を抑制することを報告した。今回はその作用機序としてマクロライド系抗生物質の接着能におよぼす効果について検討した。【方法】マクロライド系抗生物質としてclarithromycin (CAM), azithromycin (AZM) を用いて、ヒト線維肉腫 (HT-1080)、ヒト卵巣奇形癌 (PA-1) 、ヒト肺腺癌 (A-549)、ヒト肺小細胞癌 (SBC-3) の前培養(各抗生物質10ug/ml)を行った後、あらかじめ MATRIGEL でコートした96穴プレートで、一定量の細胞を37度で1時間の培養を行い、接着した腫瘍細胞をcrystal violet で染色し、590 nm で吸光度を測定した。各細胞で数回のassayを行い、コントロールの平均値を100%として薬剤との比較検討を行った。更に抗VLA-3抗体を用いて同接着分子の発現におよぼす効果についてフローサイトメトリーで検討した。【結果】各腫瘍細胞に対してCAM・AZMはともに接着を有意 (p< 0.0001)に抑制した。また CAM はVLA-3 の発現を抑制した。【結論】マクロライド系抗生物質の悪性腫瘍浸潤能の抑制機序の1つとして接着能の抑制が考えられた。AZM についてはVLA-3 の発現に影響を及ぼしておらずCAM とAZM では作用機序が異なることが推察された。