ABSTRACT 1883(P7-8)
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ラット腸癌の腹膜播種性転移モデルを用いたCa拮抗剤ベラパミルの転移抑制作用の検討:飯石浩康1, 竜田正晴2, 馬場 都2, 明渡 均31大阪成人セ・3内,2大阪成人セ・研2,3大阪成人セ・研4)

Suppression by verapamil of bombesin-enhanced peritoneal metastasis of intestinal adenocarcinomas: Hiroyasu IISHI1, Masaharu TATSUTA2, Miyako BABA2, Hitoshi AKEDO3(1Dept. of Gastroenterology, 2Dept. of GI Oncol., 3Dept. of Tumor Biochemistry, Osaka Med. Ctr. for Cancer)

〔目的〕これまでに癌細胞内のCaイオン濃度の上昇が,浸潤過程において重要な役割を果たすことを明らかにしてきた.そこで今回はわれわれが開発した発癌転移モデルを用いて,Ca拮抗剤の転移に及ぼす効果について検討した.
〔方法〕Wistar系雄性ラット120匹を6群に分け,すべてに実験開始時から発癌剤(azoxymethane 7.4 mg/kg)を週1回10週間皮下投与した.各群のラットに以下の処置を行い,45週目に犠牲死させた.第1群:オリーブ油(オ)+生理食塩水(生),第2群:ボンベシン(ボ)+生,第3群:ボ+ベラパミル(ベ)10 mg/kg,第4群:ボ+ベ 20 mg/kg,第5群:オ+ベ 10 mg/kg,第6群:オ+ベ 20 mg/kg.なお,ボンベシン(40 μg/kg)はオリーブ油に懸濁し実験開始から終了まで皮下に,ベラパミルは生理食塩水に溶解し,16週目から実験終了まで腹腔内に投与した.
〔成績〕(1)第1群では55%のラットに,第2,3,4群では100%,90%,95%のラットに腸腫瘍を認めた.(2)第1群では転移を認めなかった.第2群では92%に転移を認めたが,第2,3群の転移率は18%,8%と用量依存性に,しかも有意に低かった.
〔結論〕ベラパミルはボンベシンの発癌促進作用を抑制することなく,その転移促進作用のみを抑制した.