ABSTRACT 1995(P9-1)
マウスDelta1の造血細胞表面Notch受容体への結合:千葉滋1,2,細谷紀子1,2,清水清1,2,熊野恵城1,2,神田善伸1,2,矢崎義雄1,2,平井久丸1,2(1東大・病・無菌治療,2東大・医・三内)
Binding of mouse Delta1 to Notch proteins on the cell surface of hematopoietic cells:Shigeru CHIBA1,2, Noriko HOSOYA1,2, Kiyoshi SHIMIZU1,2, Keiki KUMANO1,2, Yoshinobu KANDA1,2, Yoshio YAZAKI1,2, Hisamaru HIRAI1,2 (1Dept. of Cell Therapy & Transplant. Med., Univ. of Tokyo Hosp., 2Third Dept. of Int. Med., Faculty of Med., Univ. of Tokyo)
[目的]Notchはショウジョウバエの神経分化抑制遺伝子として発見され細胞膜受容体型の蛋白質をコードする。ほ乳類ではヒト急性リンパ性白血病にみられるt(7:9)転座の責任遺伝子としてNotch1が、マウス乳癌においてMMTV挿入により活性化される遺伝子としてNotch4が同定された。生理的にはNotchリガンドがNotchに結合することにより種々の細胞の分化が制御されると考えられ、その破綻は腫瘍化の原因となる。造血細胞にも複数の正常型Notchが発現している。今回我々は、Notchリガンドの1つであるマウスDelta1の造血細胞への結合を検討した。[方法]可溶型マウスDelta1-Fcを作成し、FACS、免疫沈降、western blotなどの方法で各種造血細胞への特異的結合を調べた。[結果・考案]可溶型マウスDelta1-Fcは、多くのヒト株化白血病細胞やマウス造血細胞株に結合した。結合はカルシウム依存性であった。Notch1,Notch2,Notch3の発現パターンと可溶型Delta1-Fcの結合パターンの比較から、造血細胞におけるDelta1の主な結合パートナーは、Notch1ではないことが推察された。