ABSTRACT 2009(P9-1)
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bFGF を介したCOX-2 の発現誘導は、骨芽細胞だけでなくマウス骨髄血管内皮細胞においても認められる。:鹿毛久身江1, 藤田直也1, 大原智子2, 尾形悦郎3, 鶴尾隆1, 21東大・分生研, 2癌研・癌化療セ, 3癌研病)

Induction of COX-2 expression by basic fibroblast growth factor (bFGF) in mouse vascular endothelial cells derived from bone marrow: Kumie KAGE1, Naoya FUJITA1, Tomoko OH-HARA2, Etsuro OGATA3 and Takashi TSURUO1,2 (1Inst. Mol. Cell. Biosci. Univ. Tokyo, 2Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res., 3Cancer Inst. Hosp.)

【目的】腫瘍部で発現が増加している bFGF は、骨芽細胞(OB)における COX-2、PGE2 産生誘導を介して破骨細胞(OC)を形成・分化させる。一方、OB の存在しない癌周囲の血管付近でも OC の形成が見られる。そこで我々は、血管内皮細胞が OC 活性化物質を直接産生している可能性を検討するため、bFGF による血管内皮細胞での COX-2、PGE2 産生促進作用を調べた。
【方法】当研究室で樹立したマウス骨髄血管内皮細胞株 (BM-3) と初代培養細胞を用い、bFGF 添加時のCOX-2 mRNA、COX-2 protein、PGE2 の発現変化を検討した。
【結果・考察】BM-3、初代培養細胞ともに、bFGF 添加後1時間で COX-2 mRNA の発現が最大となり、6 時間後まで発現誘導効果が認められた。 COX-2 protein と PGE2 も 添加後1時間から増加し、各々 6-9 時間、3 時間でピークとなり以降徐々に減少した。COX-2 発現は0.3 - 3 ng/ml まで用量依存的に上昇、10 ng/ml でピークを示した。これらの上昇は COX-2 阻害剤により有意に抑制された。一方、COX-1の発現に関しては全ての実験で有意差は認められなかった。以上より、bFGF はマウス骨髄血管内皮細胞で COX-2 、PGE2 産生を誘導することが明らかとなった。これは bFGF の作用が骨芽細胞と同様、血管内皮細胞にも及び、COX-2、PGE2 産生誘導を介したOC の活性化の一因となっている可能性を示唆している。