ABSTRACT 2014(P9-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


HB-EGF トランスジェニクマウスにおける部分肝切除後の肝再生促進に関する検討:木曽真一1、河田純男1、田村信司1、乾 由明1、梅木しのぶ1、伊藤信之1、山田 晃1、宮川潤一郎1、東山繁樹2、谷口直之2、斉藤美知子3、河野憲二3、松沢佑次11阪大・医・二内、2同・ 生化学、3奈良先端科学技術大学院大学)

Accelerated growth of hepatocytes in HB-EGF tansgenic mice. :Shinichi KISO1, Sumio KAWATA1, Shinji TAMURA1, Yoshiaki INUI1, Shinobu UMEKI1, Nobuyuki ITO1, Akira YAMADA1, Jun-ichiro MIYAGAWA1, Shigeki HIGASHIYAMA2, Naoyuki TANIGUCHI2, Michiko SAITO3, Kenji KOHONO3, and Yuji MATSUZAWA1. (1Second Dept. of Int. Med., 2Dept. of Biochem., Osaka Univ. Med. Sch., 3Nara Institute of Science and Technology)

【目的】私共は、heparin-binding EGF-like growth factor (HB-EGF) が肝細胞に対して強力な増殖促進作用を有すること、ラット部分肝切除後の再生肝内で類洞壁内皮細胞やKupffer細胞から分泌されるHB-EGFが、肝細胞の増殖に重要な役割をはたしていることを報告してきた。今回、私共は肝に特異的にヒトHB-EGF遺伝子を発現させた トランスジェニクマウスを作成し、部分肝切除後の肝再生とこれらHB-EGF発現肝細胞の性質を検討した。
【方法】(1) 肝実質細胞で特異的に発現するアルブミンのエンハンサー/プロモーターの下流にヒトHB-EGF遺伝子を接続し、これを導入したトランスジェニクマウス (Tgマウス)を作成した。 (2) Tgおよびwild type(WT) のマウスを70%部分肝切除を施行し残存肝重量(体重比)、labeling index(BrdU染色)を肝切除後36,48,120時間目に比較検討した。(3)両マウスからコラゲナーゼ肝内潅流法にて肝細胞を単離し、初代培養肝細胞のDNA合成能を3H-thymidineの取り込みで検討した。
【成績】(1)部分肝切除後48時間目のTgマウスのlabeling indexは、約50%でありWTの10数%に比して著明に増加していた。(2)肝切除後Tg miceの肝重量/体重比はWTに比して早期に回復を認めた。(3) Tgマウスより単離した肝細胞のDNA合成能はWT miceより単離した肝細胞の約3.1倍であった。
【結論】HB-EGFトランスジェニクマウスは、部分肝切除後の肝再生が促進されることが明らかになった。