ポスターセッション

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ヘパリン結合性FGF結合蛋白HBp17の正常および腫瘍細胞における発現とその解析：坂本　哲彦，田中 良治，張 雁，谷 亮治，虎谷 茂昭，岡本　哲治　（広島大・歯・口外１)

Expression and characterization of heparin-binding FGF binding protein HBp17 in normal and tumor cells :Akihiko SAKAMOTO, Yoshiharu TANAKA, Yan ZHANG, Ryouji TANI, Shigeaki TORATANI and Tetsuji OKAMOTO (Dept. Molecular Oral Medicine and Maxillofacial Surgery 1, Hiroshima Univ.Scho. of Dent.)

我々は，A431の培養上清からfibroblast growth factor(FGF)-2と共に精製した17kDaの分泌蛋白をHBp17と命名し，同蛋白がFGF-1, -2に可逆的に結合しその活性を阻害することを報告した。本研究では，正常並びに腫瘍細胞におけるHBp17 mRNAの発現を検討した。さらに，HBp17蛋白とFGF-7/KGFとの結合性およびKGF活性に及ぼす影響について検討し, HBp17蛋白のFGF-1, -2, -7/KGFとの相互作用および機能を明らかにした。
種々の正常並びに腫瘍細胞よりAGPC法にてRNAを分離後，RT-PCR，PCR-Southern hybridization 法にてHBp17 及びKGFR/FGFR2(IIIb) mRNAの発現を検討した。さらに，¹²⁵I-KGFとHBp17蛋白との結合能およびKGFの上皮細胞の増殖促進作用に及ぼす影響について検討した。その結果，ヒト歯肉由来上皮細胞, 正常唾液腺由来上皮細胞, 多形性腺腫細胞, ヒト口腔扁平上皮癌細胞および外陰部由来類表皮癌細胞はHBp17 mRNAを発現していたが，非上皮系の正常および腫瘍細胞やヒト唾液腺由来腺癌細胞およびヒト乳癌細胞は発現していないことがわかった。さらに，HBp17蛋白はFGF-1, -2の増殖促進活性を抑制したがKGF活性は増強することが明らかとなった。
以上の結果から，HBp17蛋白は扁平上皮組織由来上皮で特異的に発現される分泌蛋白であり, stroma組織で産生されたKGFのcarrier蛋白として, 扁平上皮細胞の増殖・分化に重要な働きをしている可能性が強く示唆された。