ABSTRACT 2016(P9-1)
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甲状腺ホルモン依存性アポトーシス、細胞周期、細胞分化に対するレチノイドアナログの効果について:原政博、鈴木悟、兼子敦子、森淳一郎、橋爪潔志(信州大、医、老年)

Differential effects of iodothyronine and retinoid analogs on apoptosis, G1 arrest, and differentiation in human leukemic HL60 cells:
Masahiro HARA, Satoru SUZUKI, Atsuko KANEKO, Jun-ichirou MORI, Kiyoshi HASHIZUME (Dept. of Geriat., Shinshu Univ.)

甲状腺ホルモン(T3)はHL60細胞に対しall-trans-retinoic-acid(ATRA)存在下にアポトーシス誘導、G1 arrest、分化誘導を増強する働きがある。ATRAはレチノイン酸レセプター(RARs)に対するリガンドであると同時にレチノイドXレセプター(RXRs)のリガンドでもある。今回我々はRARsとRXRsの各々に対する選択的リガンドであるAm80とHx600を用い、各レセプターを介する甲状腺ホルモン依存性アポトーシス、細胞周期、細胞分化に対する効果をHL60細胞を用いて検討した。アポトーシス分画の定量、細胞周期、分化の指標としたCD11bの発現の定量はフローサイトメーターを使用した。1μMのT3単独、HX600単独処理では細胞増殖、分化に影響を与えなかった。10nMのAm80単独処理ではCD11bの発現は増加したがアポトーシス、細胞周期には影響を与えなかった。T3は同濃度Am80存在下でアポトーシス誘導、G1 arrest、CD11b発現を増強したが、HX600存在下ではアポトーシス分画の増加のみを誘導し、細胞周期と分化に影響を与えなかった。すなわち、RXRsにはRARsを介した作用とは異なる甲状腺ホルモンとの相互作用が存在することを示す。