ABSTRACT 2019(P9-1)
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卵巣癌患者血漿中のvascular endothelial growth factor (VEGF) 濃度の検討:小林陽一、木口一成、斎藤馨(聖マリ医大・産婦)

Plasma vascular endothelial growth factor (VEGF) levels in ovarian cancer patients : Yoichi KOBAYASHI, Kazushige KIGUCHI, Kaoru SAITO (Dept. of Obstet. Gynecol., St. Marianna Univ. Sch. of Med.)

【目的】近年癌組織中におけるVEGFの発現が報告されているが、血中のVEGF値と臨床および病理学的な関連性については不明な点が多い。今回我々は卵巣癌患者血漿中のVEGF濃度を測定しその意義について検討を行った。【対象および方法】当院において初回治療を行った卵巣癌患者計27人の血漿中のVEGF濃度をELISA kit (Biotrak, VEGF human ELISA system, Amersham) を用いて測定した。対照として健常ボランティア女性19人の血漿中のVEGF濃度を用いた。【結果】血漿中のVEGF濃度は対照群では27.34±25.10 (mean±sd, pg/ml) であったのに対し、卵巣癌患者では91.6±57.8と有意に高値であった (p<0.0001)。また病期別の検討ではI・II期に比べてIII・IV期症例において有意に高値を示した (73.1±49.2 vs 112.7±63.0, p<0.05)。上皮性卵巣癌の組織型別の検討では他の組織型に比較して粘液性腺癌において有意にVEGF濃度は低値を示した。一方、VEGF濃度と腹水量、血中CA125値との間には相関は認めなかった。予後との関連では、正常のmean+2sdにほぼ相当する75pg/mlでわけて検討すると75pg/ml以上の症例のほうが75pg/ml以下の症例に比較して予後不良である傾向が認められた。【結論】卵巣癌患者血漿中のVEGF濃度は正常女性に比較して有意に高値であり、また病期や予後をある程度反映する可能性が示唆された。