ABSTRACT 2023(P9-2)
 ポスターセッション一覧 トップ 


胃癌組織におけるc-met、c-erbB-2遺伝子の増幅および蛋白の過剰発現について:中島仁一、澤田秀智、山田行重、渡辺明彦、阪口晃行、平尾具子、中野博重(奈良医大・1外)

Amplification and overexpression of c-met, c-erbB-2 in gastric carcinomas : Masakazu NAKAJIMA, Hidetomo SAWADA, Yukishige YAMADA, Akihiko WATANABE, Teruyuki SAKAGUCHI, Tomoko HIRAO and Hiroshige NAKANO (1st. Dept. Surgery., Nara Med. Univ.)

[目的]ヒト胃癌組織において、増殖因子受容体c-met、c-erbB-2 の過剰発現は、癌の増殖と進展に関与している。今回、各遺伝子の増幅および蛋白の過剰発現を調べ、臨床病理学的因子との関連性と、予後因子としての有用性について検討した。[方法]当科において外科的に切除された128例を対象とした。胃癌部および正常胃粘膜からDNAを抽出し、Southern blot hybridization法により遺伝子増幅の有無を検討した。また、原発巣に対し、免疫組織染色により蛋白の発現を検討した。[結果]c-met遺伝子増幅および過剰発現は10.2%、46.1%に認め、低分化腺癌・スキルス胃癌、リンパ節転移との相関を示した。c-erbB-2では、それぞれ11.7%、16.4%に認め、高分化型腺癌との相関を示した。c-met、c-erbB-2の異常を示した症例では、有意に予後不良であった。また、両蛋白とも過剰発現を示したものは、単独で過剰発現を示したものより、さらに予後不良であった。多変量解析を行うと、両蛋白の過剰発現とリンパ節転移が独立した予後因子であった。[結語]胃癌においてc-met、c-erbB-2遺伝子の異常は、有用な予後因子となりうると考えられた。