ABSTRACT 2026(P9-2)
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皮膚表皮性腫瘍における Fibroblast GrowthFactor Receptor (FGFR) の発現に関する免疫組織学的検討: 村上正基、笠原正男、溝口良順、小森克彦、 堀ハルナ(藤田学園・医・病理)

Immunohistochemical detection of fibroblast growthfactor receptors in epidermal neoplasmas :MasamotoMURAKAMI, Masao KASAHARA, Yoshikazu MIZOGUCHI, Katsuhiko KOMORI, Haruna HORI (Dept.of Pathology, Fujita Health Univ. Sch. Med.)

目的:Fibroblast growth factor (FGF) は線維芽細胞の増殖を促進する蛋白性因子として epidrmal growth factor (EGF) についで報告されたclassicalな増殖因子であるが、ヘパリンとの親和性が高く、現在報告されているグループとして9つの分子からなるファミリーを形成している。そのチロシンキナーゼ型レセプター(FGFR)も4種類存在することが知られており、正常組織における分布について数多くの報告がなされている。近年皮膚疾患領域におけるFGFRの発現が確認されており、これら4種類のレセプターを認識する抗体も publishされてきた。そこで我々は皮膚表皮性腫瘍群を中心に免疫組織化学的にFGFRの発現を検索したので報告する。
方法:当大学付属病院にて臨床及び病理組織学的診断の得られた、皮膚扁平上皮癌10例、基底細胞癌10例、 Bowen's disease10例、脂漏性角化症10例の合計40例を検索対象とした。材料は全て採取後直ちに4% paraform-aldehydeにて12時間以内の固定を行い通常の方法に従いパラフィン包埋ブロックを作成し、APTcoating slideを用いて3μmの薄切切片を作成し、ABC法によって免疫染色を施行した。使用した抗体はいずれも Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, California, USA)のもので、FGFR-1 (Flg:C-15), FGFR-2 (bek: C-17),FGFR-3 (C-15), FGFR-4 (C-16)を使用した。
結果:全ての抗体において正常部表皮では弱陽性ながら均一な陽性所見が得られた。シグナルは細胞質内に存在し傍基底細胞層から有棘層にかけて分布し、基底細胞層にはシグナルが得られなかった。また真皮内皮膚付属器にも一部陽性所見が得られた。各疾患における染色結果と文献的考察を加えて報告する。