ABSTRACT 2029(P9-2)
角化細胞増殖因子受容体遺伝子導入によるヒト白血病細胞株UT7/GMの増殖:鎌田民弘1、服部豊1、木崎昌弘1、池田康夫1(1慶大・血内)
Proliferation of human megakaryocytic cell line UT7/GM engineered to express keratinocyte growth factor receptor: TamihiroKAMATA1, YutakaHATTORI1, MasahiroKIZAKI1, Yasuo IKEDA1 (1Div.of Hematol.,Keio Univ.)
(目的)角化細胞増殖因子(KGF)は、その受容体を発現する種々の上皮細胞に特異的に分化、増殖のシグナルを伝達する。今回我々は効率のよい生体外造血幹細胞増幅への応用を目的として、KGF受容体遺伝子(Ksam)を造血系細胞株に導入し、KGF刺激により増殖し得るか否か検討した。(方法)ヒト巨核芽球性白血病細胞株UT7のGM-CSF依存性亜株UT7/GMを用い、KGF受容体遺伝子(KsamIIC-1)あるいはそのC末端短縮型(KsamIIC-3)を導入、GM-CSF非存在下、KGF希釈系列下に液体培養を施行した。(結果)KsamIIC-1、KsamIIC-3いずれの導入細胞においてもGM-CSF非存在下液体培養にて明らかなKGF容量依存性増殖を認めた。いずれの導入細胞においても形態、細胞表面マーカー、EPOによる赤芽球分化への影響も認めなかった。(考案)KGF受容体からのシグナル伝達によりヒト造血系細胞株の増殖が可能であった事よりKGFの組織特異的作用は細胞内シグナル伝達の差異ではなく受容体発現の有無によって決定されていると推察された。