ABSTRACT 2032(P9-2)
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TGF-β受容体II遺伝子異常は本態性血小板血症巨核芽球のTGF-βによる増殖抑制からの逸脱に関与する: 黒田裕行、坂牧純夫、久我 貴、平山泰生、日下部俊朗、佐々木勝則、藤川幸司、松永卓也、新津洋司郎 (札幌医大・医・第四内科)

TGF-βreceptor II gene abnormality is implicated in the escape mechanism of megakaryoblast of patients with essential thrombocythemia from growth inhibition by TGF-b: Hiroyuki KURODA, Sumio SAKAMAKI, Takashi KUGA, Yasuo HIRAYAMA, Toshiro KUSAKABE, Katsunori SASAKI, Koushi FUJIKAWA,Takuya MATSUNAGA,Yoshiro NIITSU (4th Dept. of Int. Med., Sapporo Medical University)

【目的】我々は最近血小板中に多く存在するTGF-βが巨核球系造血を強く抑制することを明らかにし、TGF-βが 巨核球系造血のnegative regulatorであることを示した (Hirayama et. al., Blood, in press)。今回、本態性血小板血症(ET)症例の血小板系造血がTGF-βによるregulationから逸脱している可能性を推定し、ET患者においてTGF-βの造血抑制作用およびTGF-β受容体遺伝子を解析した。
【方法】ET患者および正常人6名を対象としてTGF-β存在下/非存在下におけるthrombipoietin (TPO) 依存性CFU-Megコロニーアッセイを行った。またET患者由来CFU-Megよりtotal RNAを抽出した後, TGF-β受容体I,IIの発現をRT-PCRで確認した。さらに得られたPCR産物について塩基配列を決定した。
【結果】TGF-β1.0 ng/ml添加によりCFU-Meg数は正常人で95.4%抑制された。一方ET患者では抑制率は38.7%と軽度であった。ET患者2例のCFU-Megにおいてexon2またはexon3からexon7までが欠失したtruncate型受容体IIの存在を認めた。なお,TGF-β受容体IについてはET, 正常人ともに異常を認めなかった。
【考察】ET 患者の CFU-MegにはTGF-β受容体II異常を認めるものがあり,TGF-βがtruncate型TGF-β受容体IIに会合できないため、TGF-βの 増殖抑制から逸脱し血小板増多をきたすと考えられた。