ABSTRACT 2097(P9-6)
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膀胱癌細胞株における G-CSF による増殖促進作用のcisplatinの抗腫瘍効果に及ぼす影響:渡辺悦也,大見千英高,原 貴彦,大場一生,塚本 学,吉弘 悟,山本光孝,内藤克輔(山口大・泌)

Effect of cell proliferation by G-CSF on cisplatin cytotoxicity in human bladder cancer cell : Etsuya WATANABE, Chietaka OHMI, Takahiko HARA, Kazuo OBA, Satoru YOSHIHIRO, Mitsutaka YAMAMOTO, Katsusuke NAITO (Dept. of urol. Yamaguchi Univ.)

[目的]好中球系前駆細胞の分化,増殖を促進するサイトカインであるG-CSFは,白血病細胞や G-CSF receptor を有する一部の固形腫瘍において増殖を促進することが報告されており,骨髄性白血病においては,G-CSFのpriminig効果を用いたG-CSF併用抗癌化学療法が試みられている。今回,ヒト膀胱癌細胞株におけるG-CSFの増殖に及ぼす影響,抗癌剤との相互作用について検討した。[方法]ヒト膀胱癌細胞株(KK-47,T-24)を用い,RT-PCR法にてG-CSF receptorを,flowcytometry にて細胞動態を,MTT assay法にて細胞の増殖および殺細胞効果を検討した。抗癌剤としては膀胱癌抗癌化学療法の中心的な薬剤であるcisplatin(CDDP)を用いた。[結果]G-CSF receptorの認められたKK-47細胞においては,G-CSF72時間刺激にて,G-CSF濃度100ng/mlで102.05±1.70% (% of controls),500ng/mlで106.18±2.67%と,濃度依存性の細胞増殖が認められ,G-CSF24時間刺激によるBrdU labeling index も,未刺激群で34.96±1.36%であるのに対し,100ng/mlで35.96±1.19%,500ng/mlで37.52±1.25%と濃度依存性のS期細胞増加が認められたが,G-CSF receptor の認められなかったT-24細胞においては,S期細胞の増加は認められなかった。G-CSF刺激(24,72時間)下にCDDPを添加した検討では,KK-47細胞およびT-24細胞においてG-CSF濃度の違いによる殺細胞効果に差は認められなかった。CDDP接触後にG-CSF24時間刺激をおこなった検討では,CDDP単独投与により細胞はG2/M期に集積を認め,G-CSF刺激によってもその割合に差はなかった。[考察]G-CSF receptor を有するKK-47細胞は外来性G-CSFによって細胞増殖促進をきたすが,明らかなpriming効果は認められなかった。