ABSTRACT 2131(P10-3)
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胃型腺癌の組織発生と病理診断:九嶋亮治1,2,服部隆則1(1滋賀医大・第1病理,2済生会滋賀県病院)

Histogenesis and histopathological diagnosis of gastric-type adenocarcinomas: Ryoji KUSHIMA1,2,Takanori HATTORI1(1Dept. of Pathol., Shiga Univ. Med. Sci., 2Saiseikai Shiga Hosp.)

胃の分化型腺癌はintestinal-type carcinomaともいわれるが実際のところ,胃と腸の形質が混在し発現しているものが多い.しかし,胃固有上皮によく似た胃型腺癌は一見異型性に乏しいので見逃されることも多い.このタイプの癌の組織発生と診断基準を考察した.胃型腺癌は組織発生の観点から,(1)胃固有粘膜に発生する.(2)過形成性ポリープあるいは,(3)胃型腺腫に関連して発生すると考えられる.そして,低異型度の形態のまま,あるいは低分化腺癌になって深部に浸潤したり転移することがある.胃生検組織で,淡明な胞体と比較的極性の保たれた核からなる胃腺窩類似の一見異型性に乏しい細胞から形成され,表層部で先の尖った絨毛状構造,深部で腺管の不規則な分岐がみられた場合は注意深く診断することが肝要であると思われた.病理組織学的な診断基準は「分化型腺癌で,癌細胞の多くが胃腺窩上皮・幽門腺細胞に類似し,多くの細胞が胃型粘液に陽性のもので,多少の腸型形質の発現は問わない」と考えられた.