ABSTRACT 2133(P10-3)
胃癌における核形態の解析:池口正英,斉藤博昭,近藤 亮,辻谷俊一,前田迪郎,貝原信明(鳥取大・医)
Morphological analysis of nuclei of gastric cancer cells : Masahide IKEGUCHI, Hiroaki SAITO, Akira KONDO, Shunichi TSUJITANI, Micho MAETA, Nobuaki KAIBARA (Dept. of Surgery, Faculty of Medicine, Tottori Univ.)
[目的]胃癌細胞の核面積と臨床病理学的事項の関連性を検討した.[対象]t3, n0, stage II の胃癌97例を対象とした.[方法]HE染色プレパラートを 400倍視野で検鏡し,3CCDカメラを通した画像をコンピューターモニター上で解析した.[結果]核面積の平均値は(単位:マイクロ平方メーター),リンパ球(12.9),幽門腺(28.8),胃底腺(22.7)で,幽門腺細胞核が胃底腺に比べ高値であった(P=0.009).胃癌の平均核面積は44.4で,分化型は(57),低分化型 (41.6)に比べ核面積は高値であった(P=0.003).静脈侵襲陽性例(n=50, 50.1)の核面積は陰性例(n=47, 38.4)に比べ大きく(P<0.001),p53染色陽性例(n=48, 47.6)の核面積は陰性例(n=49, 41.1)に比べ大きかった(P=0.022).DNA ploidyと核面積に関連はなかった.[まとめ]胃癌細胞の核面積と静脈侵襲に強い関連性を認め,今後,早期胃癌や肝転移例の癌細胞核面積を測定し,癌細胞の核面積と静脈への親和性を検討する予定である.