ABSTRACT 2136(P10-3)
胃B細胞リンパ腫における免疫グロブリン重鎖遺伝子V領域の解析: 湯本典夫1, 古川雅一2, 黒須克志3, 三方淳男4, 張ヶ谷健一1 (1千葉大・医・1病理, 2三井製薬・生科研, 3ニューヨーク大,4成田日赤病・病理)
Sequence Analysis of IgH V region gene on primary gastric B-cell lymphomas: Norio YUMOTO1, Masakazu FURUKAWA2, Katsushi KUROSU3, Atsuo MIKATA4, Kenichi HARIGAYA1 (11st Dept.of Pathology, 2 Inst.Biol.Sci., Mitsui Pharmaceut. Inc., 3NYU., 4Narita Red Cross Hosp.)
[目的]免疫グロブリン重鎖遺伝子(IgH)の可変領域(VH)は抗原提示によりaffinity maturationを起こし、その1次構造を変化させる。この1次構造の変異の頻度を指標にして胃Bリンパ腫の組織発生を明らかにすることを試みた。
[方法]9例の胃リンパ腫(低悪性度MALT型リンパ腫3例、高悪性度MALT型リンパ腫3例、びまん性大細胞型リンパ腫3例)のVHを各症例の腫瘍クローンに特異的なCDR3 primerとFR1の共通primerを用いPCRにて増幅し、dye primer法によって塩基配列を決定後、既知のgermline 遺伝子との相同性を比較し、mutationの頻度を検索した。
[結果]9例のVH usageはVH1が4例、VH3が3例、VH4が2例であった。FR領域とCDR領域のreplacement / silent mutationの比較により、抗原提示を受けたと考えられるものは、低悪性度MALT 型が2例、高悪性度MALT型が1例、びまん性大細胞型が2例であった。低悪性度MALT型およびびまん性大細胞型の各1例はCDR領域のmutationがみられなかった。
[結語]胃B細胞リンパ腫では3群とも抗原依存性のaffinity maturationのない例がみられ、pre-germinal center由来とpost-germinal center由来の両者があると考えられるが、低悪性度MALT型はpost-germinal center由来の傾向が示唆された。