ABSTRACT 2137(P10-3)
胃原発リンパ腫の臨床病理学的特徴と高悪性度化に関わる因子の検討:吉野 正、重西 邦浩、万波智彦、小林計太、山鳥一郎、近藤英作、林 一彦、高橋聖之、赤木忠厚(岡山大・医・病理二)
Clinicopathologic characters of 65 cases of gastric malignant lymphoma: Tadashi YOSHINO, Kunihiro OMONISHI, Tomohiko MANNAMI, Keita KOBAYASHI, Ichiro YAMADORI, Eisaku KONDO, Kazuhiko HAYASHI, Kiyoshi TAKAHASHI, Tadaatsu AKAGI (Dept. Pathol., Okayama Univ., Sch. Med.)
【目的】胃の低悪性度MALTリンパ腫はときに悪性度が増すことがあり、これは、MALTリンパ腫の背景のない大細胞型リンパ腫症例との異同が問題である。そこで高悪性度化に関わる機序と各群の特徴を臨床病理学的に検討した。【材料と方法】手術材料により詳細に検討された胃MALTリンパ腫53例low grade40例、high grade13例とMALTの背景を見いだせない大細胞型リンパ腫(DLL)12例を検索対象とした。一部の症例については高悪性度化に関わると報告されているp53と大細胞型リンパ腫に高率に発現しているbcl-6蛋白の発現を免疫組織学的に検討した。【結果】MALTリンパ腫は男女比は両者とも1:1.2、DLLは1:0.8で、年齢分布をみると low grade が20才台から70才台にみられ(平均年齢57.6才)、high grade は50才台以前にはみられず(同65.5才)、DLLは20代から70代まで(同55.7才)広範に分布していた。胃を大きく3領域にわけるとMALTリンパ腫では過半数が2領域以上を冒しており、一方DLLでは一領域に限局するものが過半であった。深達度の点では low grade MALT リンパ腫の大半はsmまでであったのに対して high grade MALT、DLLリンパ腫はmp以上の症例が多く悪性度に比例していた。部分的高悪性度化に関してはp53の関与の既報告に加えてわれわれの検索では高悪性度の部ではp53に加えてbcl-6が強く発現していることを認めた。