ABSTRACT 2140(P10-3)
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大腸癌におけるHuman Gastric Mucin(HGM)発現の臨床病理学的検討
嶋本文雄1)、田中信治2)、谷本達郎2) 、西田俊博4)、 林 賢3)、田原榮一3)(広島大・医・1)病院病理部、2)一内科、3)一病理、4)中国労災病院病理)

Clinicopathological Study of Human Gastric Mucin(HGM) in Colorectal Carcinoma : Fumio SHIMAMOTO1, Shinji TANAKA2, Taturou TANIMOTO2, Toshihiro NISHIDA4, Ken HAYASHI3 and Eiichi TAHARA3 (1Dept. Pathol, Hiroshima Univ. Hosp., 2Ist Dept. Int. Med., 3Ist Dept. Pathol., Hiroshima Univ. Sch. Med., 4 Dept. Pathol., Chugokurosai Hosp.)

 目的:大腸のhyperplastic polypやserrated adenomaは、胃の腺窩上皮に形態的に類似しさらに胃の形質発現を示すことが知られているが、それから発生した癌腫の発育進展については、十分解明されていない。今回胃粘膜上皮に特異的に反応する抗体を用いて進行大腸癌における胃の形質発現について検討したので報告する。
 材料と方法:手術的に切除された進行大腸癌108病変 について、田中らの組織学的亜分類(Moderately well differentiated type(Mw), Moderately poorly differentiated type (Mp))を用い種々の臨床病理学的因子をHGM陽性群と陰性群に分けて検討した. 免疫染色は、正常胃粘膜上皮のみに発現し、正常大腸粘膜に発現しない抗体human gastric mucin(HGM)(45M1)(Novocastra)を用いた。
 結果:108例中陰性49(45.4%)例、陽性59(54.6%)例であった。陰性群と陽性群において、年令、性別、リンパ管侵襲、リンパ節転移、静脈侵襲には、有意差はなかった。しかし大きさが36mm以上のもの並びに組織亜型がW/Mwの群よりはMp/Muc/Porの群に有意の差をもってHGMの発現が陽性を示した。
 結論:大腸癌におけるHGMの発現は、癌の組織発生,組織型に関与している可能性があり、一部の大腸癌のHGM陽性症例は、hyperplastic polypまたはserrated adenoma由来を強く示唆し、胃型の大腸癌と考えられた。