ABSTRACT 2144(P10-3)
serrated adenomaの細胞動態と臨床病理学的検討:岩渕正広1,2,笹野公伸1,樋渡信夫2,名倉 宏1(1東北大・医・病理,2東北大・医・内)
Cell kinetics and Clinicopathologic Study of Serrated Adenoma:Masahiro IWABUCHI1,2, Hironobu SASANO1, Nobuo HIWATASHI2, Hiroshi NAGURA1(1Dept.of Pathol.,Tohoku Univ. Sch.of Med. 2Dept.of Int.Med.,Tohoku Univ.Sch.of Med.)
〔目的〕Serrated adenoma (SA) は1990年に1つの独立した病変として提唱されたが、その細胞生物学的及び臨床病理学的な特徴はあまり明らかにされてはいない。そこで今回、我々はSAの細胞動態及び臨床病理を検討した。
〔方法〕1974年から1996年までの23年間に内視鏡的に切除されたSA 148病変を対象とした。このうち20例についてはKi-67 免疫染色による細胞増殖動態の検討、TUNEL法によるアポトーシスの検討を行い、tubular adenoma (TA) 12例及び hyperplastic polyp (HP) 9例 と比較検討した。
〔結果及び考察〕SAの症例は平均年齢58.8歳、男女比2.05、平均腫瘍径8.9mmであった。存在部位、肉眼形態においてはTAやHPと比較し、直腸、S状結腸に多く、Ip 、Isp 等の隆起型が多かった。 SA、TA、HPにおける癌合併率、Ki-67及びTUNEL陽性細胞率は、それぞれ癌合併率(2.7%、8.0%、0.4%)、Ki-67(32.0%、43.8%、24.0%)、TUNEL(3.3%、2.4%、3.4%)であった。TUNEL陽性細胞率に関しては有意な差は認めなかったが、癌合併率、細胞増殖動態に関しては、SAはTAとHPの中間に位置づけられた。