ABSTRACT 2146(P10-3)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト消化管間質腫瘍の免疫組織化学的検討:高澤豊,元井亨,石田剛,町並陸生(東大・医・病理)

Immunohistochemical study of the gastrointestinal stromal tumour:Yutaka TAKAZAWA,Toru MOTOI,Tsuyoshi ISHIDA,Rikuo MACHINAMI(Dept. of Pathol., Fac. of Med., Univ. of Tokyo.)

[目的]ヒト消化管に発生する間葉系腫瘍には,筋や神経への明らかな分化を示さないものがあり,近年Gastrointestinal Stromal Tumour (GIST)と一括して呼ばれているが,その疾患概念は未だ確立されていない.我々はまず,GISTの組織形態及び種々の免疫組織化学的性格を明らかにする.[対象・方法]手術検体39例のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて,免疫組織化学的検索(Vimentin,Desmin,HHF35,α-Smooth Muscle Actin,S-100,NSE,GFAP,Cytokeratin,EMA,CD34,c-kit遺伝子産物(c-Kit),ret癌遺伝子産物(Ret))を行った.[結果]明らかな筋系マーカー,神経系マーカーの発現の見られるものはそれぞれ1例,9例であった.28例は,多様な組織像を示し,ほぼ全例に共通してCD34,c-Kit,Vimentinが陽性,それ以外は殆ど陰性であり,GISTとした.GISTの生物学的悪性度と組織像の間には,明らかな関係は認められなかった.全例でRetの発現は認められなかった.[考察]GISTには複数の由来のものが含まれている可能性はあるが,その診断には,c-KitがCD34と同様に有効である.悪性度についての組織学的評価は困難であり,潜在的に悪性のものとして扱う必要がある.GISTにret遺伝子の活性化が関与している可能性は低い,と考えられる.