ABSTRACT 2148(P10-3)
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膵癌の診断における十二指腸洗浄液の有用性−K-ras点突然変異解析−:中村慶春1,恩田昌彦,内田英二,柳健,松下晃,山村進,相本隆幸,小林匡,田尻孝,山口敏和2,ユン 暁青 (1日本医大・1外,2ビーエムエル・研究開発)

Utility of analysis of K-ras point mutations for diagnosis of pancreatic cancer using duodenal lavage fluid:Yoshiharu NAKAMURA1, Masahiko ONDA, Eiji UCHIDA, Ken YANAGI, Akira MATSUSHITA, Susumu YAMAMURA, Takayuki AIMOTO, Tadashi KOBAYASHI, Takashi TAJIRI, Toshikazu YAMAGUCHI2, Shingching YUN (11st. Dept. Surg., Nippon. Med. Sch., 2R&D Center, BML, Inc.)

【目的】ERCPの造影前(A)および造影後(B)に,内視鏡の鉗子口から蒸留水を50ml注入,再吸引することで簡単に採取できる十二指腸洗浄液(以下洗浄液)を検体としてK-ras変異を解析し,膵液を用いた場合と比較検討した.【対象および方法】膵癌23例,良性膵疾患21例(膵嚢胞性疾患:9例,慢性膵炎:12例),良性胆道疾患63例を対象とし,K-ras変異はenriched PCR法で解析した.膵液はERCP下に造影チューブを介し採取した.【結果】各疾患別のK-ras変異陽性率は,膵癌では,洗浄液(A):14/23(60.9%),洗浄液(B):16/21(76.2%),膵液:14/20(70%)で,各検体間において有意差は認められなかった.良性膵疾患では,洗浄液(A):2/21(9.5%),洗浄液(B):7/19(36.8%),膵液:6/12(50%)で,洗浄液(A)と膵液の間で有意差が認められた(p=0.015,Fisher's exact test).また良性胆道疾患では,洗浄液(A):3/63(4.8%)であった.【考察】十二指腸洗浄液の採取は,非常に簡便であるため被験者への負担が少なく,また洗浄液中のK-ras変異の解析結果から,膵液と比べ膵癌に対し特異性が高いことより,膵癌診断において有用であると考えられた.