ABSTRACT 2150(P10-4)
肺carcinoidにおける遺伝子異常と悪性度:小林康人1,得地令郎2,橋本毅久2,林盛昭2,林慎一2,西田一典1,山本光伸3,土屋永寿1,2(1埼玉がんセ・臨床病理,2埼玉がんセ・研,3埼玉がんセ・胸部外科)
Relationship between genetic alterations and malignancy in carcinoid tumors of the lung : Yasuhito KOBAYASHI1,Yoshio TOKUCHI2, Takehisa HASHIMOTO2, Moriaki HAYASHI2, Shin-ichi HAYASHI2,Kazunori NISHIDA1, Mitsunobu YAMAMOTO3, Eiju TSUCHIYA1,2 (1Saitama Cancer Center Clinical Pathology Div., 2Res. Inst., 3Chest Surgery.)
[目的]肺carcinoidの遺伝子異常の解析は少なく、またそれらと悪性度との関連は不明であることから、これら2項目につき検討した。[対象と方法]肺神経内分泌腫瘍手術18例(Typical carcinoid(TC):5、Atypical carcinoid(AC):1、Large cell neuroendocrine carcinoma(LCNEC):2、Small cell carcinoma(SCLC):10)のパラフィン材料よりmicrodissectionでDNAを抽出し、マイクロサテライトマーカーを用いて染色体1p(2ヶ所)、3p(2ヶ所)、9p、9q、 13q、17p、計8ヶ所のLOHをPCR法で検索した。また、p53、bcl2、baxの免疫染色を行った。bcl2とbaxの染色評価は、bcl2:bax比で示した。[結果]TCで3pのマーカーCI31107とD3S1300で各々(2/5)、(1/4)、9qのmfd220で(1/3)にLOHを認めた。 LCNEC+SCLCで、13qのRB12と17pのTP53で各々(9/9)、(8/8)にLOHを認めたが、TC+ACでは各々(0/4)、(0/3)であった。p53染色結果は、TC、ACでは(-)、LCNECでは(+)でTP53のLOH結果と相応したが、SCLCでは2例のみ(+)でLOH結果と相応しなかった。 bcl2:baxはTCで<1、AC、LCNEC、SCLCで>1であった。[考察]肺carcinoidにLOHが認められた。13q、17pのLOH検索とbcl2:bax比は、肺carcinoidの悪性度の指標の一つになりうる可能性が示唆された。