ABSTRACT 2151(P10-4)
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肉腫様変化を伴った腺癌における、各成分の起源の解析: 西田一典1,小林康人1,得地令郎2,橋本毅久2,林 盛昭2,石川雄一3,山本光伸4,中川 健5,土屋永壽1,2(埼玉がんセ・1臨床病理・2研・4胸部外科、癌研・研・3病理・5呼吸器外科)

Histogenesis of Two Components in Adenocarcinoma with Sarcomatous Change: Kazunori NISHIDA1, Yasuhito KOBAYASHI1, Yoshio TOKUCHI2, Takehisa HASHIMOTO2, Moriaki HAYASHI2、Yuichi ISHIKAWA3, Mitsunobu YAMAMOTO4, Ken NAKAGAWA5, Eiju TSUCHIYA1,2 (Saitama Cancer Ctr., 1Dept. of Pathol., 2Res. Inst., 4Chest. Surg., Cancer Inst. 3Dept. of Pathol., 4Chest Surg.)

【はじめに】肺では、ごく稀に明らかな腺癌と肉腫様の成分から成る悪性腫瘍がみられることがある。これらの腫瘍は通常の腺癌とは発生年齢・性別・喫煙指数・組織亜型(WHO)・リンパ節転移頻度などの点で異なっていることが判明しているが(著者ら、1998)、今回、われわれは、さらに各部分の遺伝子変化を検討することによりこの腫瘍のclonalityを解析し、ふたつの成分の起源について考察した。【対象と方法】肉腫様変化を伴った腺癌5例のパラフィン切片からmicrodissection法により腺癌・肉腫様部分の組織片を別々に採取し、1p, 3p, 9p, 9q, 13q, 17pのLOHをmicrosatellite markerを用いて検索し、腺癌・肉腫様部分それぞれのLOHを比較した。【結果】これまでに4例について3p, 17pのLOH検索を行った。いずれの症例もinformativeであったがLOHは認められなかった。【考察】遺伝子検索の結果、腺癌・肉腫様の部分の間に差がなかったことから両者はいずれも同一の起源を有するもので形態上の差はprogression のprocessの違いにより生じたものであると考えられた.