ABSTRACT 2152(P10-4)
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細胞診陰性肺野微小病変における気管支肺胞洗浄細胞の K-ras mutation検出による肺癌診断能の向上: 尾下文浩、山田耕三、野田和正(神奈川がんセ・内)

Detection of K-ras mutation in BALF cells for lung cancer diagnosis in small pulmonary lesions of cytologically negative findings: Fumihiro OSHITA, Kouzou YAMADA, Kazumasa NODA (Dept. Int. Med., Kanagawa Cancer Center)

【目的・対象】微小肺癌の術前診断における気管支肺胞洗浄細胞のK-ras mutation(rasM)検出の有用性を検討した。1995年12月以降に切除などにより確定診断がなされた2cm未満の孤立性末梢性肺野病変のうち気管支鏡にて細胞診陰性であった26症例を対象とした。
【方法・結果】肺病巣の最大径は1.5cm以上2.0cm未満が5例、1.0cm以上1.5cm未満が14例、1.0cm未満が7例であった。最終診断は腺癌16例、focal fibrosis (FF) 4例、肺炎3例、hamartoma1例、結核1例、肺内リンパ節腫大1例であった。治療前に行った気管支鏡下擦過細胞診直後に気管支肺胞洗浄を行い、回収した細胞を細胞診とK-ras検出に用いた。気管支肺胞洗浄細胞からcell lysateを作成しK-ras codon 12を増幅後制限酵素で切断するPCR-PIREMA法にて微量rasMの検出を行った。1回のPCRと制限酵素処理では全例163bpの正常K-rasのみが検出されたものの、PCRと制限酵素切断を連続3回行ったところ15例にて192bpの微量rasMが検出できた。最終診断別では肺癌16例中12例(75%)でrasMが陽性であったのに対し、非癌性病変10例では肺炎、FFの3例(30%)でrasMが陽性であった。rasM検出率は肺癌症例において有意に高い頻度であった(p=0.02)。
【結論】PCR-PIREMA法による気管支肺胞洗浄細胞のrasM検出は気管支鏡下細胞診陰性例の微小肺癌の補助診断となる。