ABSTRACT 2153(P10-4)
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色素嫌性腎細胞癌21例の臨床病理学的検討: 長嶋洋治,滝淳子、矢尾正祐、青木一郎、中谷行雄(横浜市大・医・病理,泌)

Chromophobe renal cell carcinoma. A clinicopathological study of 21 Japanese patients. Yoji NAGASHIMA,Atsuko TAKI,Masahiro YAO, Ichiro AOKI, Yukio NAKA-TANI (Depts.Pathol.& Urol., Yokohama City Univ.Sch.Med.)

(目的)色素嫌性腎細胞癌(以下、嫌性癌)はThoenesら(1985)によって提唱された腎癌の新亜型で、混濁、網状の染色態度を示す細胞質を特徴とする。本邦腎癌取扱い規約(1992)組織分類には加えられていないため、多くの症例が他亜型として診断されてきたと思われる。今回、我々は嫌性癌症例21例を臨床病理学的に検討した。(材料と方法)横浜市大附属病院および他施設の腎腫瘍手術材料を再検討し、嫌性癌に一致する病理学的所見を呈した21例の臨床歴、肉眼所見、免疫組織化学染色を中心とした病理組織学的検討を行った。 対照として淡明細胞亜型腎細胞癌20例を同様に検討した。(結果)患者年齢、予後ともに対照症例と有意差はなかった。組織構築は充実型をとり、一部に腺管形成を認めた。免疫組織化学的には上皮膜抗原,broad cyto-keratin,E-cadherin陽性、vimentin,N-cadher-in陰性であった。MIB-1標識率、TUNEL標識率は淡明細胞亜型との間に有意差を見なかった。(考察)すでに報告されている細胞遺伝学的、分子生物学的性状からも嫌性癌は他亜型と区別されるべきである。淡明細胞亜型との鑑別には細胞質の性状、充実性を示す組織構築に加え、免疫組織化学染色による補助診断が有用である。(研究助成;文部省、車両財団、原口財団)