ABSTRACT 2154(P10-4)
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膀胱憩室に関連した膀胱原発印環細胞癌の一例:丸山博司1,杉原誠一1,堤雅弘2,小西陽一2,(1星ヶ丘厚生年金病院病理,2奈良医大・がんセ・腫瘍病理)

Report of a case of primary signet ring cell carcinoma of the urinary bladder associated with a bladder diverticulum: Hiroshi MARUYAMA,Seiichi SUGIHARA,Masahiro TSUTSUMI and Yoichi KONISHI (1Dept.of Pathol.,Hoshigaoka Kouseinenkin Hospital,2Dept.Oncol.Pathol.,Cancer Ctr., Nara Med.Univ.)

膀胱原発の印環細胞癌(signet ring cell carcinoma,以下Sig)は全膀胱腫瘍中約0.4%の頻度で発生し稀であり,その多くは進行癌で発見され予後は不良である。今回我々は,膀胱憩室の近傍に膀胱壁全周性にSigを認めた一例を経験したのでその組織発生について考察を加え報告する。症例は64歳,男性,元農業。主訴:粘液尿。既往歴:40歳時に硬膜外脊髄腫瘍(良性)切除後より脊損(Th6以下),神経因性膀胱となる。60歳時に膿尿を訴え,膀胱憩室を指摘された。現病歴:1996年8月頃より粘液尿があり,尿細胞診でClassIV(腺癌疑),右腎と尿管の結石を認めた。1997年3月17日入院となり,血清CEA48.2ng/mlと高値,消化管(胃・大腸内視鏡),腹部と骨盤CT,骨シンチ等の精査で膀胱または前立腺癌が疑診された。同年5月14日TURにて膀胱および前立腺が生検された。肉眼的に膀胱壁全周性の隆起性腫瘍を認め,切除標本では全てSigで,免疫染色でCEA陽性,Prtostatic antigen陰性で膀胱原発Sigと判明した。考察:本例は稀な膀胱憩室の近傍に発生した膀胱原発の印環細胞癌で,尿路結石,繰り返す慢性膀胱炎を背景に伴っており膀胱癌の危険因子の解析に有用な一例と考えられた。