ABSTRACT 2156(P10-4)
前立腺肥大症および前立腺癌のPSAおよびACTの局在:
田中方士1、村上信乃1、鈴木規之1、鈴木良夫2、島崎淳3、伊藤晴夫3(1旭中央・泌、2旭中央・病理、3千葉大)
Histochemical finding of PSA and ACT in prostatic disease: Masashi TANAKA1, Shino MURAKAMI1, Noriyuki SUZUKI1,Yoshio SUZUKI2,Jun SHIMAZAKI3, Haruo ITOU 3(1Dept. of Urol.Asahi General Hosp.2 Dept.of Path.Asahi General Hosp.3 Dept. of Urol. Chiba Univ.)
Prostate specific antigen(PSA)は前立腺特異マーカーであり、癌では良性疾患に比し血中でα1-antichymotripsin(ACT)とより多く結合している。ACTは肝や脳、肺で合成され血中に放出されるが、癌で何故ACT結合のPSAが高値になるかは不明である。今回ACTの局所産生について検討した。癌組織22例、前立腺肥大症10例、正常前立腺(膀胱全摘により摘除し組織学的に確認)10例を材料とした。ACTはPOD標識抗α1ーACT抗体を用い、同時にPSAを免疫組織学的に検索した。ACTの染色性は、正常前立腺上皮細胞、前立腺肥大症の腺上皮細胞はほぼ一様に染色されるが、時に染色性の落ちる場合もあった。前立腺癌細胞のACTの染色性は一様でなく、強染するものから陰性まで分布していた。PSAは三者で上皮細胞にほぼ均等に染色された。PSAの染色性とACTの染色性は一致していない部分もあった。いずれの組織についても間質細胞はACTに対する染色性はなかった。癌組織に関してはheterogeneityが強く低分化ほど、また管腔が小さいほど強く染色される傾向にあった。肥大症組織および癌組織において間質内の炎症部分にACT陽性の組織球が認められた。以上よりPSA結合ACTは、前立腺以外の部位からのACTの関与があるにせよ、前立腺組織内の組織球もそれに関係すると推測した。