ABSTRACT 2157(P10-5)
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臨床病理学的因子を用いた多変量解析による腋窩リンパ節転移の予測と限界:井本 滋1,津金昌一郎21国立がんセ・東病・外,2国立がんセ・研・臨床疫学)

Prediction of axillary lymph node status by use of clinicopathological factors of breast cancer : Shigeru IMOTO1, Shoichiro Tsugane2 (1Div. of Breast Surgery, Natl. Cancer Ctr. Hosp. East, 2Epidemiology & Biostatistics Div. Natl. Cancer Ctr. Inst. East)

乳癌の外科療法における腋窩非廓清の可能性を検討するために、臨床病理学的因子を用いた多変量解析によって腋窩リンパ節転移の有無を予測した。 平成5年から7年までに手術された腫瘍径5cm以下の女性乳癌259例について、患者の閉経状況(Mens)、肥満度(BMI)、腫瘍径(T)、占拠部位(L)、乳頭腫瘍間距離(D)、リンパ節触知の有無(HN)、超音波による腋窩診断(UN)、および腫瘍の組織異型度(HG)、脈管侵襲(LY, V)、ホルモンレセプター(ER, PR)を因子として多変量解析を行い、組織学的リンパ節転移の有無を予測した。Probability cutpointを0.5にすると、Mens, BMI, T, HG, LY, V, ER, PRに加え、HNまたはUNを因子とした場合の正診率は75.3%と76.4%であった。しかし、偽陰性率が50%前後の為、cutpointを0.25に下げたが偽陰性率は23.9%と35.2%であった。臨床病理学的因子のみで腋窩廓清の有無を決定することは困難である。このモデルを用いた平成8年以降の症例の診断精度についても併せて報告したい。