ABSTRACT 2162(P10-5)
軟骨肉腫におけるp53異常の予後因子としての意義:大城由美,恒吉正澄(九大・医・2病理)
Altered p53 is associated with aggressive behavior of chondrosarcoma: a long-term follow-up study : Yumi OSHIRO, Masazumi TSUNEYOSHI (2nd Dept. of Pathol., Kyushu Univ.)
【目的】骨原発軟骨肉腫の臨床病理学的解析および、癌抑制遺伝子p53の異常と予後との関係について検討した。
【材料と方法】 通常型軟骨肉腫158例について臨床病理学的検討を行った上で、118例について、免疫組織化学によるp53蛋白過剰発現の検出とPCR-SSCP法を用いたp53遺伝子変異の解析を行った。
【結果】患者年齢は10歳から91歳まで分布し、平均は50歳であった。骨盤骨に最も多く(27%)、大腿骨、上腕骨がそれに続いた(共に17%)。 grade 1の症例は有意に予後が良好であった。次に、p53異常の解析を行った118例中、p53蛋白過剰発現は27例(23%)、遺伝子変異は35例(30%)に認められた。これらのうちいずれかを示す例は全体の45例(38%)であり、これをp53異常を伴う例と判断した。p53異常の有無は、腫瘍の組織学的悪性度(grade)および転移の有無と有意に相関した。また、Kaplan-Meier法による解析より、初発から再発までの期間、初発から転移までの期間および生存期間とp53異常との間に有意な相関が見られた。
【結論】p53異常は軟骨肉腫の予後因子として有用である。
当研究はBogdan Czerniak 氏およびAlberto G Ayala氏 ( Univ. of Texas, MDAnderson Cancer Center) の指導の元に行われた。