ABSTRACT 2163(P10-5)
脱分化型軟骨肉腫を含むヒト軟骨性腫瘍における Membrane Type 1-Matrix Metalloproteinase (MT1-MMP), Matrix Metalloproteinase-2 (MMP-2), and Tissue Inhibitor of Metalloproteinase-2 (TIMP-2)の発現:坂本昭夫,小田義直*,岩本幸英*,恒吉正澄(九大・医2病理、*整外)
Expression of Membrane Type 1-Matrix Metalloproteinase, Matrix Metalloproteinase-2, and Tissue Inhibitor of Metalloproteinase-2 in Human Cartilaginous Tumors with Special Emphasis on Dedifferentiated Chondrosarcoma: Akio SAKAMOTO, Yoshinao ODA*, Yukihide IWAMOTO*, Masazumi TSUNEYOSHI (2nd Detp. Pathol., *Dept. Ortho. Surgery, Kyushu Univ. Sch. Med)
【目的】脱分化型軟骨肉腫を含むヒト軟骨性腫瘍におけるMT1-MMP, MMP-2および TIMP-2の発現と、組織学的悪性度および予後との関連を考察した。
【対象・方法】ホルマリン固定標本;内軟骨腫10例、通常型軟骨肉腫34例(Grade 1; 20例、Grade 2; 13例、Grade 3; 1例)、間葉性軟骨肉腫5例、淡明細胞型軟骨肉腫5例、脱分化型軟骨肉腫8例におけるMT1-MMP, MMP-2およびTIMP-2の免疫組織学的発現を半定量的に評価した。
【結果・考察】通常型軟骨肉腫におけるMT1-MMP, MMP-2および TIMP-2の発現スコアは、それぞれGrade 1で2.5, 2.4, 3.6、Grade 2で3.4, 3.9, 5.2であり、組織悪性度と相関した。しかし予後との相関は、認められなかった。MT1-MMP, MMP-2および TIMP-2の発現は、お互い相関しており、協調して発現していると思われた。通常型軟骨肉腫に比べて、間葉性軟骨肉腫は、 MT1-MMP, MMP-2の発現率の低さを特徴とした、一方、淡明細胞型軟骨肉腫は、発現の違いはみられなかった。 脱分化型軟骨肉腫の脱分化部におけるMT1-MMP, MMP-2および TIMP-2の発現は、それぞれ、4.0, 4.1, 5.6であり通常型軟骨肉腫より高く、脱分化軟骨肉腫の臨床的な悪性度の高さを示す可能性がある。