ABSTRACT 2165(P10-6)
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Anaplastic large cell lymphomaにおけるCD56発現:鈴木律朗1,、中村栄男2、田地浩史3、鏡味良豊3、小椋美知則3、瀬戸加大1、森島泰雄3(愛知がんセ1研・化療、2臨床検査・病理、3血液化療)

CD56 expression in anaplastic large cell lymphoma: Ritsuro SUZUKI1, Shigeo NAKAMURA2, Hirofumi TAJI3, Yoshitoyo KAGAMI3, Michinori OGURA3, Masao SETO1, Yasuo MORISHIMA3 (1Lab. of Chemotherapy, 2Dept. of Pathology and Clinical Laboratories, 3Dept. of Hematology and Chemotherapy, Aichi Cancer Center)

【目的】p80 (ALK-NPH)は染色体転座t(2;5)(p23;q35)の結果生ずるキメラ蛋白で、未分化大細胞型リンパ腫 (anaplastic large cell lymphoma, ALCL)の約60%にその発現がみられる。このp80の発現は、ALCLの予後因子となると同時に、p80陽性の一群は独立した亜群を形成する可能性が言われている。一方、CD56はNK細胞性抗原として種々の分化段階のNK細胞性腫瘍、一部のT細胞性腫瘍に発現が見られる他、急性骨髄性白血病 (AML)の約20%に陽性となり、t(8;21)を有するAMLではすでに予後不良因子となることが指摘されている。CD56はALCLでも一部に陽性で、その発現意義を今回の検討した。【方法】愛知県がんセンターで診断されたALCL 97例中、検索可能であった80例に抗CD56抗体 (NKH-1)による免疫染色を施行、その他の臨床病理学的所見との関連を解析した。【結果】CD56は14例(18%)に陽性で、陽性例の男女比は9: 5、年齢は4〜85歳(中央値28歳)であった。p80陽性群は49例中8例(16%)、陰性群は31例中6例(19%)がCD56陽性で、p80の発現との相関はなかった(p=0.73)。統計学的有意差には至らなかったが、CD56陽性例は陰性例より予後不良であった(5年生存率29% vs 52%, p=0.066)。【考案】ALCLにおけるCD56の発現は、p80とは独立した予後因子となる可能性が示された。未だその由来が明確でないALCLの本態解明に寄与するものと考える。