ABSTRACT 2167(P10-6)
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眼窩領域のリンパ増殖性疾患の診断におけるPCR法の有用性:万波智彦1,吉野 正1,大島浩一2,重西邦浩1,大原信哉1,近藤英作1,岡 剛史1,林 一彦1,高橋聖之1,赤木忠厚11岡山大・医・2病理,2国立岡山病院・眼)

Monoclonalities detected by PCR method in ocular adnexal lymphoproliferative disorders:Tomohiko MANNAMI1, Tadashi YOSHINO1,Koichi OSHIMA2, Kunihiro OMONISHI1, Nobuya OHARA1, Eisaku KONDO1, Takashi OKA1, Kazuhiko HAYASHI1, Kiyoshi TAKAHASHI1, Tadaatsu AKAGI1(1 2nd Dept. Pathology, Okayama Univ. Med. Sch.; 22nd Dept. Opthalmol., Okayama National Hospital)

【目的】眼窩領域のリンパ増殖性疾患では、形態学的に良悪性の鑑別が困難な境界領域の症例がしばしば経験される。近年B細胞腫瘍におけるclonalityの証明にPCRを応用した検出法が開発され、補助診断としての有用性が報告されている。今回我々は眼窩領域のリンパ増殖性疾患50例について免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子可変部領域に対するPCR法によりmonoclonalityを検索し、組織学的所見・免疫組織化学・Southern blot法・臨床経過などと合わせ比較検討した。【材料・方法】生検材料の凍結切片及びホルマリン固定・パラフィン包埋標本よりDNAを抽出した。Davis(1993)の方法に従い、VH・JH領域へのプライマーを用いsemi-nested PCR法にてIgH可変領域を増幅し、電気泳動での再構成バンドのパターンについて検討をおこなった。【結果】組織所見・免疫組織化学・Southern blot法にて悪性リンパ腫と診断された31例の内、PCR法によりmonoclonal bandを示したものは18例、oligoclonal bandを示したものは4例、polyclonal bandを示したものは9例であった。一方、反応性リンパ過形成と診断された19例にはmonoclonal bandを示した症例はみられなかった。【結論】眼窩領域のリンパ増殖性疾患においてPCR法はわずかな検体からも迅速にmonoclonalityを検出することができ、補助診断として有用であると考えられる