ABSTRACT 2173(P10-6)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト皮膚悪性腫瘍におけるアクチン調節蛋白質ゲルソリンの発現異常:古川洋志1,2,藤田寿一1,瀧本将人1,杉原平樹2 ,葛巻 暹1 (北大・医・1癌研遺伝子制御,2形成外科)

Abnormal expression of an actin-regulatory protein gelsolin in human skin cancer : Hiroshi FURUKAWA1,2, Hisakazu FUJITA1, Masato TAKIMOTO1, Tsuneki SUGIHARA2, Noboru KUZUMAKI11Div. of Gene Regulation, Cancer Inst., 2Dept. of Plastic Surg., Hokkaido Univ., Sch. Med.)

[目的]我々はゲルソリンの発現がras癌遺伝子誘発マウス腫瘍およびヒト胃癌,大腸癌,膀胱癌,肺癌で低下・消失していることを報告してきた。これらの癌細胞にヒト・ゲルソリンcDNAを移入すると腫瘍原性が低下・消失し,癌抑制遺伝子として機能する。今回,ヒト皮膚悪性腫瘍におけるゲルソリンの発現を,細胞株と手術検体を用いて抗ヒト・ゲルソリンモノクロナール抗体により検討した。[方法]ヒト皮膚悪性黒色腫7株および13検体,有棘細胞癌8検体,色素性母斑7検体,正常皮膚4検体を用いた。材料より蛋白質を抽出し,ウエスタンブロット法,あるいは免疫沈降法を用いゲルソリンの発現を解析した。[結果]全ての検体において,ゲルソリンの発現に年齢差・性差は認めなかった。皮膚悪性黒色腫株および検体においてゲルソリンの発現の低下や消失は認めなかった。しかし,ヒト皮膚悪性黒色腫組織13検体全例で,通常の90KDaのゲルソリンのバンド以外に,交差反応する約85KDaのバンドが認められた。この85KDaのバンドは色素性母斑7検体中2例,有棘細胞癌8検体中2例にわずかに認められた。[結論]ヒト皮膚悪性黒色腫組織には,85KDaの異型ゲルソリンあるいは交差蛋白質が高頻度に認められる。